Categories: ニュース

5秒でフィラメント切り替え、Snapmakerが多色3Dプリンター「U1」を発表

Snapmakerが4ヘッドツールチェンジャー搭載のカラー3Dプリンター「U1」をKickstarterで発表した。独自の「SnapSwap」システムにより、従来の単一ノズル方式と比較してフィラメント廃棄量を最大80%削減し、ツールヘッド交換時間を5秒に短縮している。

「U1」は4つの独立したツールヘッドを搭載し、各ヘッドが異なる色や材質のフィラメントを事前に装填できる。従来のフィラメント交換方式では色変更時に大量のパージ(廃棄フィラメント)が必要だったが、ツールヘッドごと物理的に交換することで、この問題を解決したとしている。

プリンターはCoreXY方式を採用し、最大移動速度500mm/s、加速度2万mm/s²の高速動作を実現している。プリント速度は最大300mm/sで、270×270×270mmのビルドボリュームを持つ。カーボンファイバー製X軸レールにより軽量化と剛性を両立している。

精密なキャリブレーション機能

多ヘッド構成での課題となる位置精度については、自動XYZオフセット調整機能により、各ツールヘッド間の位置ずれを0.04mm以内に制御している。入力シェーピング機能では加速度センサーを使用して振動を抑制し、プレッシャーアドバンス機能でフィラメント流量を最適化している。

ツールヘッド交換は鋼球キネマティックカップリングを使用した機械的な固定方式で、磁石やモーターを使わずに確実な固定を実現している。同社によると100万回のテストで故障は発生していないという。

フィラメント管理では4スプール対応の自動フィラメントシステムを搭載し、フィラメント検出と自動ローディング機能を提供している。RFIDタグによる自動フィラメント認識にも対応し、色や材質、設定を自動識別できる。

ソフトウェア面では「Snapmaker Orca」スライサーを開発し、Orca Slicerをベースに最適化したプロファイルを追加している。専用アプリではリモート監視と制御が可能で、タイムラプス撮影機能も備えている。

造形サンプル毎の造形スピードとフィラメント使用量の比較画像出典元kickstarter

AI搭載の印刷監視機能

内蔵チャンバーカメラにはAI画像認識機能を搭載し、スパゲッティ状態やビルドエリア内の障害物を自動検出する。印刷エラーを検知するとアプリやスライサー経由でアラートを送信し、材料と時間の無駄を防ぐ。

対応フィラメントは基本材料としてPLA、PETG、TPU、PVAに対応し、オプションのトップカバーと強化スチールノズルを使用することでPET、ABS、ASA、PA、PC等の高温材料も扱える。

Kickstarterでの早期価格は749ドル(事前デポジット者は実質679ドル)で、2025年10月から順次出荷予定となっている。Snapmakerは過去2回のKickstarterキャンペーンで実績があり、「Snapmaker Original」と「Snapmaker 2.0」を成功裏に製品化している。

関連情報

Snapmaker U1 Color 3D Printer: 5X More Speed. 5X Less Waste.

FabScene編集部

FabScene編集部