SpaceXは、AI、機械学習、エッジコンピューティング用途に特化した100万基の衛星コンステレーションを軌道上に配備する計画を、連邦通信委員会(FCC)に正式申請した。2026年1月31日に公開されたFCC申請書類によると、この軌道データセンターシステムは太陽エネルギーを直接活用し、地上データセンターの制約を回避する。
SpaceXは申請書類で、「軌道データセンターとして機能する100万基の衛星コンステレーションを打ち上げることは、カルダシェフスケールType IIレベル文明への第一歩だ」と述べている。
カルダシェフスケールは、文明の発展度をエネルギー利用能力で測る指標だ。Type I文明は惑星全体のエネルギーを利用し、Type II文明は恒星のエネルギーを直接活用できる。Type III文明は銀河全体のエネルギーを制御する。現在の人類はType Iにも到達しておらず、太陽エネルギーのごく一部しか利用できていない。
計画では、高度500〜2000km、軌道傾斜角30度から太陽同期軌道の範囲で、最大50km幅の軌道シェル内に衛星を配備する。各軌道シェル間には他システムとの衝突回避のための十分な空間を確保する設計だ。
衛星間通信には高帯域幅の光リンクを使用し、Starlinkコンステレーションの高容量レーザーメッシュネットワーク経由で地上局へデータを送信する。初期ミッションおよびミッション後の重要段階では、Ka帯バックアップ通信機器も搭載する。
SpaceXは、1トンあたり100kWの計算能力を持つ100万トンの衛星により、100GWのAI計算能力を実現できると主張している。地上の電力網に依存せず、ほぼ無制限の太陽エネルギーにアクセスできるため、地上データセンターよりコスト効率が高いという。
申請書では、「太陽の豊富でクリーンなエネルギーを軌道上で活用することで、排出削減、土地利用の最小化、電力網拡張の環境コスト削減が可能になる」と説明している。
Starshipの完全再利用型ロケットシステムにより、年間数百万トンの打ち上げ能力が実現すれば、軌道上の処理能力は前例のない規模とスピードで地上構築と比較して大幅に削減された環境影響で達成できるという。
データセンターの電力需要は、AI成長により2035年までに2倍以上の1500〜1800テラワット時に達すると予測されており、世界の電力消費の最大7%を占める見通しだ。
申請書では、「太陽の100万分の1のエネルギーを活用するだけでも、現在の人類文明が使用するエネルギーの10万倍以上になる」としている。Starshipの打ち上げ能力により、AI計算用の宇宙インフラ容量は米国経済全体の電力消費を超える可能性があるという。