Categories: ニュース

スタンフォード大学生がAI搭載ロボット犬をゼロから製作、10週間で歩行から消防活動まで

スタンフォード大学の学生たちが、授業の一環として四足歩行ロボット「Pupper」をハードウェアキットから組み立て、AI機能を実装している。コンピューターサイエンス学部のCS 123「AI対応ロボット構築への実践的入門」コースでは、学生が10週間でモーター制御から機械学習まで、ロボティクスの全領域を習得する。]

同コースは3年目を迎え、Karen Liu教授(コンピューターサイエンス)、Google DeepMindのJie Tan氏、AppleおよびHands-On RoboticsのStuart Bowers氏が指導する。学生は基本的なプログラミングスキルのみで参加でき、歩行、ナビゲーション、人間のコマンドへの応答、専用タスクの実行が可能なロボットを開発する。

CS 123の学生たちがPupperロボットの製作に取り組んでいる様子画像出典元スタンフォード大学ニュース

Liu教授は「学生をロボティクスの専門家にするための最良の方法は、ロボットをゼロから構築してもらうことだ。この四足歩行設計は、初心者がロボティクスに飛び込むのに完璧な入門プラットフォームでありながら、最先端のAIアルゴリズム開発をサポートする十分な能力を持っている」と説明する。

学生クラブのプロジェクトから本格授業へ

「Pupper」は、スタンフォード学生ロボティクスクラブが2019年に開発した四足歩行ロボット「Doggo」から発展した。Doggoは予算内で四足歩行ロボットを作成・設計する方法を提供し、バックフリップも可能だった。チームは可愛らしい四足歩行ロボットがロボティクスを親しみやすく楽しいものにする可能性を見出し、Bowers氏に授業化を提案した。

現在のPupperは前世代よりもパワフルかつ洗練されており、学生にとって組み立てや操作がより簡単になっている。初期受講生でのちに主任ティーチングアシスタントとなったAnkush Kundan Dhawan氏は「ハードウェアをより良く、より能力の高いものにすることで大きく前進した。実際のロボットで実践的に学習できるよう学生を支援する講師の情熱が印象的だった」と振り返る。

コースは週次講義と実践的なラボの組み合わせで構成されている。「Wiggle Your Big Toe」「Do What I Say」といったラボタイトルは遊び心を保ちながら実践的なスキルを構築する。最初の5週間でモーターの動作やロボットの移動など基礎を学び、次の段階でニューラルネットワークを使ってロボットの歩行、視覚、環境応答を改善する。

消防活動からメイズ攻略まで多様な最終課題

今春の学期末には「Dog and Pony Show」と呼ばれる最終プロジェクトが開催され、NVIDIAとGoogleからのゲストが参加した。6チームがPupperにメイズナビゲーションや模擬消防活動(ウォーターピックによる消火)などの創造的なタスクを実行させた。

講師陣はAIロボティクス分野がまだ勢いを増していると考えており、ほぼ毎学期新しいレッスンと技術進歩を統合してコースを最新に保っている。Bowers氏は「AIとロボティクスの統合をより多くの学生にアクセス可能にする時期であり、その取り組みはスタンフォードから始まってキャンパスを超えて成長することを期待している」と述べている。

関連情報

スタンフォード大学ニュース(CS 123コース)
スタンフォード学生ロボティクスクラブ

FabScene編集部

FabScene編集部