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「世界最小」でギネス認定、モバイルバッテリーサイズでChatGPT級AIが動くPC「Tiiny AI Pocket Lab」

米国のAIスタートアップTiiny AIは2025年12月10日、ポケットサイズのAIコンピューター「Tiiny AI Pocket Lab」を発表した。ChatGPT級の大規模AIをインターネット接続なしで動かせる世界最小のPCとして、ギネス世界記録に認定された。

Tiiny AI Pocket Labは、ChatGPTやGPT-4oと同等クラスの大規模AI(最大1200億パラメータ)をクラウド接続なしで本体内だけで動かせる。サイズは142×80×25.3mmで重量は300g。モバイルバッテリーとほぼ同じ大きさながら、従来は高性能GPUやデータセンターが必要だった処理をこなす。

消費電力は65Wで、GPUベースのシステムと比較して大幅に低い。ARMv9.2アーキテクチャの12コアCPUを搭載し、80GBのRAMと1TBのSSDを備える。

独自技術で省電力と高性能を両立

同製品には2つの独自技術が搭載されている。「TurboSparse」は、AI処理時に必要な部分だけを動かして不要な計算を省く技術で、精度を維持しながら処理効率を向上させる。「PowerInfer」はCPUとNPU(AI専用プロセッサー)間で処理を分散するエンジンで、GitHubで8000以上のスターを獲得しているオープンソースプロジェクトだ。

同社によると、日常的なAI作業の80%以上は中規模クラスのAIモデルで対応可能であり、Tiiny AI Pocket Labはこの範囲を完全にカバーする。さらに大規模な1200億パラメータモデルまで対応し、GPT-4o相当の推論能力を発揮するという。

Llama、Qwen、DeepSeek、Mistral、Phiなど主要なオープンソースモデルをワンクリックでインストールできる。ユーザーデータはバンクレベルの暗号化でローカル保存され、インターネット接続なしで動作する。

同様のコンパクトAIデバイスとしてはNVIDIAのProject Digits(約3000ドル、約42万円)やDGX Spark(約4000ドル、約56万円)があるが、いずれも一般ユーザーには手が届きにくい価格帯にある。Tiiny AIはより幅広い層への普及を目指しているが、価格と発売時期は未定。CES 2026で詳細を公開する予定だ。

Tiiny AIは2024年にMIT、Stanford、香港科技大学、上海交通大学、Intel、Meta出身のエンジニアが設立した。

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Tiiny AI

FabScene編集部

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