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見ても触ってもわからない皮膚電極を東大が開発、200nmの膜でテカリを消す

東京大学生産技術研究所の松久直司准教授らの研究グループが、顔に貼っても見た目でわからず、触ってもわからない「ステルス皮膚電極」を開発した。厚さ約200nmの膜で皮膚のテカリを抑え、装着していることを本人にも周囲にも気づかせない。成果はScience Advancesに掲載され、大学が2026年7月16日に発表した。

顔は情報の宝庫だ。眼球の動きやまばたき、表情を作る筋肉、脳波など、その人の心理や認知の状態、機器の操作につながる信号が集まる。一方で顔は、人と人とが向き合う場所でもある。従来の顔用の電極は貼っていることが周囲から丸わかりで、装着する側にも見た目の違和感や心理的な負担が生じるため、日常生活で使いにくかった。

研究グループが着目したのは光の反射だ。人の皮膚は光をやわらかく反射する。ところが従来の透明フィルムは表面がなめらかなため、皮膚の上に貼るとそこだけテカって目立つ。そこで、酸化チタンのナノ粒子を混ぜたゴムの薄膜を厚さ約200nmで作り、皮膚に近い反射と触り心地を持たせた。電極そのものは、透明で電気を通す銀ナノワイヤの層が担う。光を整える層と電極の層を重ねた構造になる。

顔に貼って試したところ、装着した本人も、周囲で見ている人も、目でも指でも電極を見つけられなかった。

見えないことは、測定そのものの質にも効く。研究グループは、従来のゲル電極を顔に貼った自分の写真を被験者に見せると、脳波の反応や心理状態が変わることを確かめた。電極の見た目が、測ろうとしている心理状態を動かしてしまうわけだ。ステルス皮膚電極では、その変化は現れなかった。

計測できる信号も幅広い。眼球運動やまばたきに伴う眼電図、噛む動作や顎の動きに伴う筋電図、目を閉じたときに現れる脳波のアルファ波を、それぞれ取得できた。こうした信号をまとめて取るには顔に多数の電極を貼る必要があり、ゲル電極では見た目が大きく変わってしまうが、ステルス皮膚電極ではほとんど変わらなかった。

性能面では、眼球運動の計測で市販のゲル電極と同等の信号対雑音比を得た。歩行や会話を含む日常の動作のなかで、12時間にわたって安定して測れた。

松久准教授は、顔にデバイスを装着したときに感じた違和感が研究の出発点だったと述べる。材料の開発から電気・光学特性の測定、生体の計測、心理学の実験までを組み合わせて「見えない」ことを実証した点に学術的な意義があるとし、日常生活の中での心理状態の解明へ研究を広げたいとしている。

研究グループには、慶應義塾大学、ソウル大学校、VTT Technical Research Centre of Finland、芝浦工業大学、国立病院機構南京都病院、大正大学が参加した。

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FabScene編集部

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