セキュリティ情報サービスのVulnersが、脆弱性やエクスプロイトの最新情報を電子ペーパーに映し続ける卓上端末「VulnCast」を公開した。ハードウェアは市販のESP32-S3ボード1枚で、価格は約40ドル(約6500円)。ファームウェアはMITライセンスでGitHubに置いた。
狙いは通知を追うのをやめることにある。脆弱性の情報はメールや通知、JSONの形で次々と届き、そのつど画面を切り替えて確かめることになる。VulnCastは机の上に置いたまま、新しい情報を自分で取りに行って表示する。サーバーもコンパニオンアプリも要らず、端末が直接APIをたたく。
使うボードはLilyGoの「T5 4.7インチ E-Paper S3」のV2.4で、タッチ付きの版を選ぶ。ESP32-S3-WROOM-1-N16R8を載せ、フラッシュは16MB、PSRAMは8MBある。画面は960×540の電子ペーパーで、静電容量式のタッチに対応する。
表示する情報は4系統を回す。ニュース、エクスプロイト、バグバウンティ、脆弱性の各チャンネルが標準で入り、検索式と更新間隔を書けば独自のチャンネルも足せる。個別の記録を開くと、深刻度の指標であるCVSSが悪用のしやすさを示すアイコンと、機密性・完全性・可用性への影響を表すバーに分解して並ぶ。エクスプロイトの数や要約も読め、QRコードを読めば元のページに飛べる。記録の種類によって画面の作りが変わる。
電子ペーパーの弱点にも手を打った。電子ペーパーは書き換えのたびに全面が黒く反転しやすい。VulnCastは変わった行だけを塗り直す仕組みを積み、更新のたびに画面が点滅しないようにした。全面の書き換えは、ページや内容が切り替わったときと、残像を取るための定期処理に限る。PSRAM上に960×540の作業領域を確保して処理する。
導入も軽い。ブラウザーからボードにファームウェアを書き込める仕組みを用意し、USB Type-Cでつないでクリックするだけで済む。ChromeかEdge、Operaが必要になる。配布するバイナリには接続情報を焼き込んでおらず、Wi-FiとAPIキーは端末側で入力する。初回はVulnCast-Setupという名前のアクセスポイントが立ち上がり、そこから設定する。ネットワークが消えたら設定用のアクセスポイントに戻る。
開発者向けの道具も付く。UARTのコンソールが常時動いており、状態の確認や再起動のほか、電子ペーパーの表示内容をそのままPNGとして吸い出せる。
情報の取得元はVulnersのAPIで、利用にはAPIキーが要る。同社はLilyGoとの提携関係はないと明記している。