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90年代の懐かしい天気予報画面が現代によみがえる ラズパイで動く「The Weather Channel」シミュレーター

1990年代のアメリカで親しまれた「The Weather Channel」の天気予報画面を再現するオープンソースプロジェクト「ws4kp-international」が、Githubで公開されている。青とオレンジを基調とした懐かしいデザインと、現代のWeb技術を組み合わせたこのプロジェクトは、Raspberry Pi(ラズパイ)をはじめとする小型コンピューターでも軽快に動作し、レトロな魅力と実用性を兼ね備えている。

開発者のmwood77氏が2025年2月に既存プロジェクトを改良して開発したこのシステムは、元々アメリカ国内限定だった天気予報システムを、Open Meteoの国際対応APIを活用することで世界中で利用可能にした。Raspberry Piの低スペック環境でも安定動作するよう最適化されており、ブラウザ上で90年代の天気予報番組を完全再現しながら現在の気象情報を表示する。

Raspberry Piでも軽快に動作するレトロ天気予報システム

このプロジェクトの最大の特徴は、1990年代に登場した「WeatherStar 4000」という受信装置で使われていた青とオレンジの配色と書体を忠実に再現していることだ。当時のThe Weather Channelでローカル天気予報を見た経験がある人なら、一目でその懐かしさを感じられるデザインとなっている。

Raspberry Pi 4はもちろん、古いモデルのRaspberry Pi 3でも安定して動作するよう設計されており、ラズパイを使った常設の天気予報ディスプレイとしても最適だ。技術面では、従来のCanvas要素を使った描画システムからHTML/CSSベースのシステムに移行し、Raspberry Piのような低スペック環境でもスムーズに動作する軽量設計を実現している。ES6の機能を活用したJavaScriptコード、非同期処理による高速な気象データ取得、レスポンシブデザインなど、現代のWeb開発のベストプラクティスが採用されている。Raspberry Piのメモリ使用量を抑えた効率的な設計により、長時間の連続稼働でも安定動作を維持する。

世界対応で機能も充実

国際版では、風速単位(m/s、km/h、ノット、mph)、温度単位(摂氏、華氏、ケルビン)、距離単位(km、マイル、フィート、メートル、バナナ)、気圧単位(hPa、inHg)など、地域に応じた単位系の選択が可能だ。時刻表示も12時間制と24時間制の切り替えに対応している。

新機能として、24時間の時間別グラフによる気温・雲量・降水確率の表示、大気質指数予報、海洋予報、実験的機能として近隣都市の気象データ表示などが追加されている。さらに、Internet Archiveから配信される90年代の天気予報番組風NGMを楽しめるWinampプレーヤー(2000年代に普及したmp3再生ソフトウェア)も組み込まれており、当時の雰囲気を完全に再現している。

ライブデモも公開中でRaspberry PiなどのLinux環境でのNode.js実行やDockerコンテナでの実行にも対応している。Raspberry Piでの設置を想定したキオスクモードも搭載されており、タッチディスプレイと組み合わせることで、家庭やオフィスの常時表示用天気予報システムとして活用できる。コードはGitHubで公開されており、MITライセンスの下で自由に利用・改変可能だ。設定やお気に入りの場所はパーマリンクとして保存・共有でき、ブックマークからの素早いアクセスも可能だ。

関連情報

I created my own Weather Channel, complete with music (Weather Star 4000)
Github

FabScene編集部

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