Categories: ニュース

トルコの大学が木粉PLAのノズル径と強度を実測、0.8mmで曲げ強さ13%増

トルコのヨズガト・ボゾク大学(Yozgat Bozok University)のİbrahim Kılıç氏が、木粉入りPLAフィラメントをFFF方式の3Dプリンターで造形するとき、ノズル径だけで強度がどれだけ変わるかを実測した。市販のBambu Lab「H2D」で0.4mm、0.6mm、0.8mmの3種類のノズルを使い、他の条件をすべてそろえて比べたところ、0.8mmでは0.4mmに比べて引張強さが8.9%、曲げ強さが13.2%、曲げ弾性率が15.0%上がった。一方で0.4mmと0.6mmの差は統計的に区別できず、効くのは0.8mmに上げたときだった。

木粉入りPLAは、植物由来で生分解性のあるPLAに木の粉を混ぜたフィラメントで、見た目と手触りが木に近いことから置物や試作品に広く使われている。粉が混ざるぶんノズルが詰まりやすく、詰まりを避ける目的で太いノズルを勧めるのが一般的だ。ただし太いノズルは押し出す線が広くなり、隣り合う線の重なり方や内部の空隙の量も変わる。強度がどう動くかは純粋なPLAでもいくつか研究があるが、最適とされる径は0.5mm、0.6mm、0.8mmと研究ごとに割れており、市販の木粉入りPLAで系統的に調べた例は少なかった。

そこでKılıç氏は、ノズル径以外の条件を固定して差を切り出した。材料はトルコのPorimaが売る木粉約30%配合の「PLA Wood」で、乾燥処理をせず供給状態のまま使った。造形はノズル220℃、ベッド60℃、層の厚さ0.2mm、インフィル100%、印刷速度100mm/sで、線幅はBambu Studioの既定値(0.42mm、0.62mm、0.82mm)に任せている。試験片はASTM規格に沿って引張、3点曲げ、ノッチ付き衝撃、密度の4種類を作り、条件ごとに5本ずつ測った。層の厚さを変えていないため、差が出れば線幅の効果として説明できる設計だ。

数値で見ると、引張強さは33.28MPa、33.79MPa、36.24MPa、曲げ強さは59.43MPa、60.05MPa、67.26MPaと、0.6mmまではほぼ横ばいで0.8mmだけが上がった。密度も1.166g/cm³から1.192g/cm³へ0.8mmで初めて有意に上がっており、Kılıç氏は太い線で隣の線との接触面が広がり、内部の空隙が減って層同士がよく結合した結果と説明する。引張弾性率、破断伸び、衝撃強さには有意差がなく、これらは材料自体の性質に左右されるとみている。

ただし最適なノズル径は普遍ではなく、材料の配合や条件によって変わる、とKılıç氏は先行研究を引いて念を押す。今回の結果はフィラメント1銘柄、3Dプリンター1機種、各条件5本の試験に基づくもので、層の厚さや印刷速度、インフィル構造と組み合わせた検討を今後の課題に挙げている。成果は2026年8月14日、学術誌「Turkish Journal of Forest Science」に掲載され、全文を無料で読める。

関連情報

FabScene編集部

FabScene編集部