暑さの厳しい夏。日差しの強さに合わせるように、ソーラー充電に対応する日用品も増えてきた。しかし、実際にどれだけ発電・給電できているのかは意外と分かりにくい。そんな「見えない電源」を可視化してくれるのが、小型の計測ツールだ。
中国・深圳の電子機器メーカーWeAct Studioが発売する「Power Monitor V1」は、約4cm四方のコンパクトなサイズながら、電圧や電流をリアルタイムで測定・表示できる電源モジュールだ。ビット・トレード・ワン公式オンラインショップでは、税込1980円(記事初出時の価格)で販売されている。
電源の状態を確認するだけでなく、USB Power Delivery(USB PD)対応の充電器やモバイルバッテリーの出力電圧を指定するPDトリガーとしても利用できる。計測と電圧指定を1台でこなす、小さなボードの実力を確かめていこう。
2026年も過酷な暑さが続く東京。筆者の住む街にも、強烈な日差しが降り注いでいる。この暑さを少しでも活用しようと、中型の折りたたみ式ソーラーパネルを購入した。キャンプや車中泊、防災用途などを想定した製品で、USB Type-Cなど複数の出力端子を備えている。
受光効率を示すインジケーターが搭載されているものの、実際にどれだけの電圧や電流が出ているかはわからない。天候や設置角度によって性能がどの程度変わるのか、あるいはカタログスペックどおりに発電できているのかを知る手段は意外に少ない。
そこで利用するのが、WeAct StudioのPower Monitor V1だ。使い方はソーラーパネルの出力端子とPower Monitor V1を、Type-C端子またはスルーホールを介して接続するだけ。動作電圧に達すると起動し、ディスプレイに電圧と電流がリアルタイムで表示される。
続いて、負荷を接続した場合の挙動を確認する。Power Monitor V1の出力側にDCファンを接続すると、負荷のない状態では約20Vを示していた電圧が、接続後には約15Vへ低下し、電流は0.075Aを示した。ソーラーパネルの出力電圧が負荷によって変動する様子を、数値として確認できた。
さらに、パネルへ影をかけながら電圧の変化を確認した。パネル全面を太陽に向けると約20Vを示したが、徐々に影をかけていくと12V程度まで低下し、その後Power Monitor V1のディスプレイが消灯した。受光効率のインジケーターが同じ0%を示していても、電圧の数値に幅があったのは意外な発見だ。
Power Monitor V1をソーラーパネルへ直接接続する、あるいは負荷との間に挟むだけで、実際の出力を手軽に確認できた。スペックが不明な製品や劣化したものでも、つなぐだけでその実力を数値で確かめられる。
Power Monitor V1は高精度な電流・電圧測定IC「INA226」を搭載し、電圧・電流・電力をリアルタイムで測定する。5〜36V・最大10Aまでの入力に対応するほか、PDではFixed PDO、PPS、AVS(EPR)、Quick Chargeでは5V・9V・12V・20Vの電圧要求に対応する。
この幅広い入力電圧により、ソーラーパネルのような屋外機器からUSB PD充電器まで、さまざまな電源を1台で扱える。付属するXT60コネクターはドローン用バッテリーなどでも広く使われる規格で、電子工作だけでなくホビー用途も意識した設計だ。
もう一つの特徴が、USB PDやQuick Chargeのトリガー機能だ。接続した充電器やモバイルバッテリーが備えるPDOを読み取り、ユーザーが出力電圧を指定できる。単に測るだけでない、この製品ならではのポイントだ。
USB PD対応の充電アダプター「ACDC-PD8765BK」をType-Cケーブルで接続すると、Power Monitor V1はアダプターが持つPDOを自動で読み取り、初期状態では5VのFixed PDOが選択されていた。
側面のK1ボタンを押すとリクエスト画面へ切り替わる。この画面でK1を押すたびに充電器が持つPDOを順番に選択でき、K2を長押しすると、その電圧を充電器へリクエストする。再びK1を長押しすると測定画面へ戻る。
試しに12V・3.0Aをリクエストして測定画面へ戻ると、ディスプレイにも電圧の設定が反映された。9V、15V、20Vなど、ほかのPDOも同様に切り替えられる。
ソーラーパネルと同様に、負荷を接続した状態での計測もした。また、モバイルバッテリーなど、ほかのUSB PD対応機器でも同様に利用できる。機器ごとに異なるPDOを自動で読み取り、その場で切り替えられる点は、一般的なUSBテスターにはない魅力だ。
さらにPPS(Programmable Power Supply)に対応した充電器では、20mV単位で出力電圧を指定できる。リクエスト画面でK1を押していくとPPS対応のPDOが表示されるので、K2を長押しして選択する。その後、測定画面へ戻ると、K1を押すたびに出力電圧を20mVずつ変更できる。
電圧のリクエストと負荷を組み合わせることで、USB PD充電器を手軽な実験用電源としても利用できる。「このファンは何Vから回るのか」「この回路は何Vまで動作するのか」といった確認も簡単だ。Power Monitor V1は単なるUSBテスターではなく、USB PD充電器を実験用電源として活用するためのインターフェースとしても機能する。
Power Monitor V1は本体だけでも実用的だが、PC用アプリケーションを利用すると、より多くの情報を扱える。アプリは公式GitHubリポジトリからダウンロード可能だ。
アプリを利用するには、本体のファームウェアをVer.1.0.0.3以上へ更新する必要がある。筆者は最新版(Ver.1.0.1.0)を使用した。Power Monitor V1をUSB Type-CケーブルでPCへ接続し、専用の更新ツールを実行するだけでアップデートできる。
アプリとの通信はUSB接続またはUART接続に対応しており、用途に応じて使い分けられる。今回は本体に付属するピンヘッダーと、別途用意したUSB-UART変換器「WCH LinkE」を利用した。
Power Monitor V1のシルク印刷を確認し、4ピンコネクターを次のように配線する。
| Power Monitor V1 | 変換器 |
| TX | RX |
| RX | TX |
| G | GND |
| 5V | 接続不要 |
Power Monitor V1と接続した変換器をPCにつなぎ、アプリからCOMポートとBaud Rate(初期設定では9600bps)を選択して「Open」をクリックすると通信が開始される。
アプリでは、接続した充電器が持つPDOやPPSの一覧をGUIで確認できるほか、INA226の補正や各種設定も行える。機器の評価やトラブルシュートなど、より詳細な確認や設定が必要な場面で役立つ。
また、同じく公式リポジトリで公開されている「WeAct-PowerMonitor-GUI_by_A8tor」は、グラフ表示に対応している。より視覚的に、リアルタイムの変化を追いたい場合に有効だ。
Power Monitor V1を使い、ソーラーパネルやUSB PD充電器、モバイルバッテリーの性能を検証した。
一般的なUSBテスターやPDトリガーは、測定または電圧出力のどちらかに特化した製品が多い。一方、Power Monitor V1は、電圧・電流・電力の測定、PDトリガーやQuick Chargeへの対応、PC用GUIによる可視化まで1台にまとめている。
実際に使うと「電源の性能を測る」だけでなく、「USB PD充電器を実験用電源として活用するインターフェース」という印象も受けた。ソーラーパネルの発電状況を確認したり、電子工作用の電源として利用したり、モバイルバッテリーのPDOやPPS対応状況を調べたりと、活用の幅は広い。
測定・トリガー・GUIを2000円以下で実現したPower Monitor V1は、手軽に電源を評価・活用したい人にとって有力な選択肢だ。手元の充電器やモバイルバッテリー、ソーラーパネルをつなぎ、電源の特性を確かめながら活用してみてほしい。
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