3Dプリンターでロケットエンジンを作ろうとすると、たいてい熱に負けて溶けてしまう。YouTubeチャンネル「Mr. More Gooder」は、この壁に「自分で自分を冷やすエンジン」で挑んだ。エンジンの内部を中空にして水を流し、燃焼の熱を運び去る仕組みだ。
エンジンは、燃料のプロパンと空気を別の区画で混ぜてから燃やす構造になっている。その壁の内側に水を通す空間を設け、ポンプで水を循環させて冷やす。実はこれは本物のロケットエンジンでも使われる発想に近い。高温になる壁に燃料や冷却液を流し、熱を逃がしながら燃やす「再生冷却」と呼ばれる方法だ。
製作では細かな工夫もあった。手持ちの小型ポンプはホースのサイズが合わなかったため、つなぐためのアダプターを3Dプリントで作った。まず水を入れて漏れを確認したところ、継ぎ目から少しにじむ程度で、実験には問題ないと判断している。点火は、ボルト2本を電極にして、電気を流すとアーク放電で火花が飛ぶ仕組みにした。
組み立てて動かすと、最初は電極が熱で曲がるまで順調に燃焼した。次はグリル用のライターで着火し、さらに調子よく回った。ところが、水冷していない区画が熱に耐えきれず、溶けてしまう。水で冷やした区画は持ちこたえたものの、冷やしていない部分はもたなかった。
そこで、両方の区画を水冷した一体型を試作した。最初はうまく動いたが、やがて内部で水が漏れ始め、その後は再点火できなかった。制作者は「3Dプリントの水冷ロケットには可能性があるが、まだ多くの改良が必要だ」として、設計を良くするアイデアを募っている。失敗も含めて過程をすべて見せる姿勢は、同じように燃焼や推進の工作に挑む人の参考になりそうだ。