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半導体エンジニアが裏庭で青色LEDを製作、レーザー1台で加工から切断

半導体を作るには何十億ドルもの工場が要る、という前提は正しい。ただしそれは製造工程の全部を自前でやろうとした場合の話だ。米ニューヨーク州に住む半導体エンジニアのMatthew Hartensveld氏は、いちばん難しい結晶成長だけを市販品で済ませ、残りの工程を裏庭の小屋で回して青色LEDを作った。工程一式は手順書として公開されている。

出発点になるのは、サファイアの円板の上に窒化ガリウム(GaN)の単結晶膜を育てた「エピウエハー」だ。光る仕掛けである多重量子井戸はすでに作り込まれており、この時点で「秘密裏にすでにLEDの95%」だと同氏は書く。2インチのウエハーが160ドル(約2万5000円)程度から買え、1枚をミリ単位に切り分ければ個人には一生分になる。円換算は2026年8月26日のレートによる。つまり残る仕事は、電極を付け、形を整え、切り出して封止することに絞られる。

工程の要は、中国製の5W 355nm紫外線レーザーマーカー1台だ。GaNのバンドギャップは約365nmなので355nmの光を吸収するが、下地のサファイアは吸収しない。その差を利用し、焦点と光の密度を変えるだけで、同じ装置がGaNの表面加工とサファイアの切断という別々の仕事をこなす。GaNを掘るときは40kHz・パルス幅4μs・走査200mm/sで、1回の走査が約0.5μm削る。埋まっているn型層に届かせるにはこれ1回で足りる。

レーザーで削った面はそのままでは使えない。GaNが分解して金属ガリウムが浮き、欠陥だらけになるためだ。そこで0.8%の水酸化カリウム水溶液に80℃で1時間浸す。金属ガリウムと損傷部だけが溶け、無傷の結晶面はほとんど侵されないので、きれいな面が出たところで反応が止まる。手順書はこれを「レーザーがチェーンソー、KOHが紙やすり」と説明する。

ここから先は本格的な工程だが、光らせるだけなら省略できる近道も併記されている。n型層まで溝を掘り、柔らかいインジウムの小片を上面のp型層と溝に指で押し付け、9V電池をつなぐ。インジウムは常温で金属同士がくっつくので、それだけで接合になる。ただし3V程度のダイオードに9Vは過電圧なので、直列抵抗を入れるよう注意書きが付く。

本式では2層レジストでパターンを描き、p型側にニッケルと銀、n型側にチタンと銀を30nmずつスパッタする。ニッケルは大気中450℃で焼くと酸化ニッケルに変わって接触抵抗が下がり、背後の銀は光を戻す鏡として働く。切り出しは同じレーザーで、焦点を0.1mmずつ深く送りながら1000回走らせる。パッケージはワイヤーボンダーを使わず、金めっき基板にインジウムを電析して裏返したチップを220℃で溶着させる。

同氏は2026年3月に小屋をクラス100のクリーンルームに改造し、4月にはDRAMのセルを作っている。今回のLEDもその延長で、目的はDRAMをチップとして完成させることにある。手順書はCC BY-SAで公開しており、レーザーの設定値から薬品の濃度、レジストの回転数まで数値が入っている。作業にはクラス4の紫外線レーザー、熱い苛性ソーダ、皮膚に触れると有毒なTMAHが登場するため、安全上の注意も最初に置かれている。

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FabScene編集部

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