撮影現場で使われるカチンコ(スレート)は、音声と映像の同期やシーン・テイク番号の記録に不可欠な道具だ。だが従来のホワイトボードとマーカーは屋外の強い日差しで視認性が落ち、手書きの文字が擦れてしまう。LEDを使ったデジタル版もあるがグレアで読みづらい。gokux氏(Reddit: Choice_Border_8904)は、この課題を電子ペーパーで解決するDIYプロジェクト「E-Slate」の制作手順をInstructablesで公開した。
使用している電子ペーパーは800×480ピクセルの7.5インチモノクロパネルで、紙に印刷したような高コントラスト表示により直射日光下でもそのまま読める。ドライバ基板はSeeed Studio製XIAO ePaper Display Board EE04で、XIAO ESP32-S3 Plusを搭載する。電源は3.7V・1000mAhのリチウムポリマー電池。筐体はFusion 360で設計し、3Dプリントで組み立てた。映像同期の合図に使うカチンコ部分のストライプも、細く3Dプリントした黒いパーツを貼り付けている。
操作はWi-Fi経由のWebアプリで完結する。電源を入れるとESP32-S3が「ClapBoard_AP」というアクセスポイント(パスワード123456789)を起動し、IPアドレスを約5秒間e-inkに表示する。スマートフォンからそのAPに接続してブラウザでIPを開くと、ROLL、SCENE、TAKE、PROD、DIR、DOP、NOTE、DATEの入力フォームが現れ、「Update Clap Board」を押すとe-inkが書き換わる。WebサーバーとHTMLはすべてArduinoスケッチ内に埋め込まれ、外部ファイルへの依存はない。ディスプレイ制御にはSeeed GFXライブラリを使い、BOARD_SCREEN_COMBO 502(7.5インチモノクロePaper、UC8179)のボード設定をdriver.hに置く構成だ。ソースコードと回路図、3DプリントSTLはすべて公開されており、将来的にはExcelシート連携やタイムコード同期などWi-Fiを活かした拡張も構想されている。