3Dプリント作品で知られるMaker、Ivan Miranda氏は、チェコ・プラハのMaker Faireに自作のバイクを持ち込みたかった。ただ、現地へは飛行機で向かうため、スーツケースに収まる大きさにまとめる必要があった。そこで氏は、自分が乗れる最小のバイクを、3Dプリントで一から作り上げた。
目を引くのはタイヤだ。芝刈り機の車輪を使ったが、そのままでは角ばっていてバイクには向かない。氏はリムを通常より細く設計し、タイヤ内部の2つのリングの間隔を狭めた。すると空気を入れたとき、側面が外へ広がれず、タイヤが丸くなる。バイクとして曲がれる程度の丸みを、この工夫で引き出した。
車体は3Dプリントの部品を組み合わせる。平らに印刷すると弱くなりそうな床板は、曲がりを持たせた別部品を差し込んで補強した。スタンドは、軸受けが山を越えると収納側か展開側へ押される双安定(バイステーブル)の仕組みで、途中で止まらない。アクセルは、右のハンドルに組んだ10kΩの可変抵抗と、3Dプリントの板ばねで戻る作りにした。
電装は、2本のバッテリーで36Vを得て、ライトやホーンが使う12VはDC-DCコンバーターで作る。アクセルの可変抵抗の信号は、Arduinoを介してモーターの速度制御へつなぐ。動力はベルトで伝え、モーターの台を前後に滑らせてベルトの張りを調整する。車のナンバー灯などに使うT10の電球を前後に付け、後ろの赤いディフューザーは3Dプリントで用意した。
電池を外した重さは14kgあまりで、狙いどおりスーツケースに収まった。プラハまで運べて、しっかり走った。会場で開かれた「スーツケースに入る自作品」を競うコンテストでは、この作品が優勝した。当初の1台は約10日で仕上げたもので、そのままの複製には向かないが、氏はその後、車軸や操舵部まで3Dプリント化し、ねじの種類を減らして組み立てやすくした複製向けの版を用意し、設計データを公開している。