生態系を調べて汚染を検知する探査車(ローバー)を開発している作り手が、その一部として、山火事を早く見つけるための高感度な炎センサーを自作した。炎や火花が出す特定の紫外線だけを捉える仕組みで、周囲を回転しながら広く見張る。
炎や電気の火花は、波長185〜260nmの紫外線を出す。太陽も同じ範囲の紫外線を出すが、地表に届く前に大気に吸収される。そのため、この波長の紫外線を検知できれば、太陽光にはほとんど反応せず、炎や火花だけを見分けられる。太陽光に反応しないこの特性は「ソーラーブラインド」と呼ばれ、地上でこの波長が現れるのは、炎や火花などごく限られた場面だけだ。
センサーには、浜松ホトニクスの紫外線用光電管R2868を使った。ライターほどの小さな炎でも8m先から捉えられる、高感度な素子だ。紫外線が管の中の電極に入ると、光電効果で電子が飛び出し、管内のガスと衝突を繰り返して雪崩のように増え、大きな電流が流れる。作り手は、高電圧電源と信号処理の回路を載せた専用基板もあわせて用意した。
センサー部は連続して回転させるため、電気を送り続けるスリップリングを組み込んだ。3Dプリントに使うPLAは印刷後に縮むため、部品の穴はすべて適切な大きさに開け直した。信号処理は、光電管からのパルスを一定数まで数えて出力を出すカウンターICを中心にした簡素なもので、出力をマイコンのピンに直接つないで読み取れる。視野を絞るため、光電管には樹脂で印刷したカバーもかぶせた。
屋外での試験では、風が強かったため点火用のトーチで試したところ、15m離れていても、茂みや背の高い草の向こうにある炎を確実に捉えた。壁の反射がない屋外でも、光電管の感度の高さが際立ったという。回転させて周囲を走査するため、1つのセンサーで広い範囲を見張れる。