Androidのタブレットや折りたたみスマートフォンで、基板設計ソフト「KiCad」が通常のアプリとして動く。KiCadの開発版(10.99)をAndroidへ移植した非公式版「KiCad Android」として、Devesh Rai氏がGitHubで公開した。KiCad Androidは図面を見るだけのアプリではなく、プロジェクト管理、回路図と基板のエディター、配線機能、部品の形状を作るエディター、基板製造用データ(Gerber)のビューアーまで含む。
KiCadの画面は画面部品のライブラリ「wxWidgets」で作られている。wxWidgetsにはAndroid版がないため、同氏はwxWidgetsのQt版を、Android向けのQt 6の上で動かす方法を選んだ。KiCad、wxWidgets、Qtへの変更はすべて、元のソースの特定のリビジョンに当てるパッチとしてまとめてある。
AndroidでKiCadを使う方法は以前もあった。2026年4月にはAndroidにLinuxの環境を入れてデスクトップ版を動かし、その画面をVNCで表示する手順が個人のブログで紹介されている。KiCad AndroidはAPKをインストールするだけで使え、2本の指で拡大・移動、3本の指で全体表示といったタッチ操作にも対応する。
同氏によると、Android版で出力したGerberとドリルのデータは、同じソースから作ったmacOS版と、ヘッダーの日付とバージョンを除いて一致した。同氏は試験に、Samsungの「Galaxy Z Fold 8」とSamsungのタブレット、Androidのエミュレーターを使った。既知の問題として、同氏は一部のダイアログのボタンが切れることや、3D表示がタッチ操作にまだ対応していないことを挙げる。READMEには移植の大部分をAIのコーディング支援ツール「Claude」で書いたとある。
同氏はAPKをGitHubのReleasesで配布している。動作するのはAndroid 10以降のarm64端末だ。同氏はキーボードとマウスの併用を勧めている。部品の3Dモデルは容量が数GBあるため同梱しておらず、利用者が別に入れる。ライセンスはGPL-3.0-or-laterで、同氏はKiCadの公式版ではないとREADMEに明記している。