赤外線で写真を撮るには、専用のカメラを買うか、手持ちのカメラを改造するしかない。どちらも安くはない。beachKilla氏は、Raspberry Pi Zero 2 Wと赤外線フィルターを外したカメラモジュールで自作し、最終的に1950年代のKodak製カメラ「Duaflex II」の筐体に収めた。作品名は「PI-CAM-IR-A」という。
デジタルカメラのセンサーは、人の目に見えない赤外線にも反応する。普段はそれが邪魔になるので、メーカーは赤外線を遮るフィルターを入れる。逆にそのフィルターがないモジュールを使えば、赤外線まで写る。同氏が選んだのは、フィルターを省いたIMX219のNoIR版だ。これをシャッターの穴と一直線になるように据えた。
いきなり完成形にたどり着いたわけではない。最初の試作は電子ペーパーの画面を使い、撮影はスマートフォンから遠隔で指示する形だった。反応が遅く、扱いにくいものだったと同氏は書く。次の試作では空き缶を筐体にして、1.4インチの画面と8入力のHATを載せ、一体型にまとめた。それでも使い勝手はよくならなかった。
3代目で筐体を古いカメラに変えた。当初は筐体そのものを3Dプリンターで作るつもりだったが、プリンターをレーザープロッターに改造している最中で、戻したり付け替えたりが面倒だった。そこで中古のフィルムカメラを改造する道を選んだ。既存の3Dモデルは数多くあるものの、自分が積みたい部品の並びに合うものがなく、必要な部品は自分で設計したという。
Duaflex IIは上から覗く二眼レフの形をしている。中身はほぼ入れ替えた。動くボタンも残っているが、シャッターは開いたまま固定した。表示と操作にはWaveshareの3.5インチのタッチスクリーンを使い、充電用のケーブルまで筐体の中に収めている。
撮ったあとの流れも自作した。「Beach IR Gallery」と名付けたサーバーをPi上で動かし、Wi-Fi経由でその場で写真を取り出して編集できる。露出の違う複数枚を合成するHDRの処理も、Piの中で済ませるか、複数の写真として持ち出して後から重ねるかを選べる。
部品表は本人のサイトで公開している。中身はRaspberry Pi Zero 2 W、Waveshareの3.5インチタッチスクリーン、IMX219のNoIR版、そして1950年代のKodak Duaflex IIの4点だ。