市販の「スマート」な気象デバイスは、たいていメーカーのクラウドにつながって初めて使える。その仕組みに頼らず、手元のデータだけで悪天候を予測したい。Dominic Muscatella氏は、その考えを1つの箱に詰め込んだ。Raspberry Pi 3B+で組んだ「Weather Station Alpha」は、電源につなぐだけで、地域の悪天候を先読みする自己完結型の装置だ。
この装置は、周囲の安価なセンサーが出す電波を、SDRで受け取る。SDRは、ソフトウェアで無線の受信を担う仕組みで、専用の受信機を用意せずに、さまざまな電波を1台で拾える。気温や湿度、気圧などを送る市販センサーの信号を受け取り、外部のサービスに頼らず、手元で集めたデータだけを使う。
集めたデータは、機械学習にかける。製作者は、複数の予測モデルを組み合わせる「アンサンブル」という手法を採り、15分ごとに計算を回す。これにより、雷雨や雹、強風など7種類の悪天候を、1時間先と24時間先の2つの時間軸で予測する。
設計で重視したのは、危険の見逃しを減らすことだ。予測には、実際に危険が起きるのに警報を出さない「見逃し」と、危険がないのに警報を出す「空振り」の2種類の誤りがある。製作者は、見逃しをできるだけ小さくし、空振りは許容できる範囲に抑える、という方針を明確に置いた。危険を知らせそこねない側に、判断を寄せた形だ。
装置は、クラウドにも定期購入にも縛られない。地域の生のセンサーデータだけで動き、外部のサービスが止まっても影響を受けない。旧世代の安価なボードでも、機械学習による予測を手元で回せることを示した1台といえる。