Polyhexは、産業用の小型コンピューター「DEBIX T62P-01」を発表した。手のひらほどの基板に、通常の処理を担うプロセッサーと、時間に厳密な制御を担う専用の処理コアを分けて載せる。開発時の使い勝手を高める工夫も加えた、工場やロボット向けの1枚だ。
心臓部には、Texas Instrumentsの「AM62P」を積む。このチップは、性質の異なる2種類の処理系を1つにまとめている。1つは、LinuxやAndroidを動かす4つのArm Cortex-A53コアで、最大1.4GHzで動く。もう1つは、決まった時間内に必ず応答する必要がある制御向けの、Arm Cortex-R5Fコアを2つ持つ。この制御用のコアは、1ミリ秒を切る速さで反応できる。
基板の大きさは88×59mmで、Raspberry Piに近い。メモリは最大8ギガバイト、記憶装置は最大256ギガバイトまで選べる。動作温度は標準で-20℃から70℃、オプションで-40℃から85℃まで対応し、屋外や工場の厳しい環境でも使える。
産業用らしく、通信と安全の機能も手厚い。有線LANの差し込み口を2つ持ち、うち1つは、通信のタイミングを精密にそろえる「TSN」という仕組みに対応する。工場の機械を、時間のずれなく協調させる用途に向く。起動時にソフトの正しさを確かめるセキュアブートや、暗号処理の専用回路も備える。
開発者に向けた配慮も光る。性質の異なる複数のコアを扱う開発では、それぞれの動作を確認するために、通常は複数の通信用の変換器を使い分ける必要がある。DEBIX T62P-01は、USB Type-Cのデバッグ用端子1つで、3系統の通信を同時に確認できるようにした。複雑な構成の開発を、少ない機材で見通せる。
Polyhexは、産業用IoTやロボット、エッジでの処理、操作画面を持つ端末に向くとしている。価格は、多くの産業用ボードと同じく公表していない。