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毎分900回転で映像を映す、1920年代の機械式テレビをラズパイPicoで再現

1920年代のテレビは、穴の開いた円板を回して映像を映していた。ニプコー円板と呼ばれるこの仕組みを、AncientJamesと名乗る製作者がRaspberry Pi Picoと5個のLEDで再現した。「Scanwheel」と名付けたこの装置は、3Dプリント部品と市販部品だけで組み立てられ、設計データとソフトウェアをGitHubで公開している。

構造は、回転する円筒に開けた小さな穴と、その内側に固定したLEDの組み合わせだ。LEDは回らない。円筒の側面に20個のピンホールが螺旋状に並んでおり、穴がLEDの前を通過する瞬間だけ光が外へ漏れる。1つ目の穴が通るときに画像の1行目を、2つ目の穴が通るときに2行目を、と順に送りながら、Picoが穴の位置に合わせてLEDを点滅させる。これを毎分約900回転で繰り返すと、人の目には静止した映像として見える。

窓は5つ並んでいる。中央がRGBのフルカラー、その両側に白色LEDが2個ずつという構成だ。1つの円筒を5つの窓が共有しながら、それぞれ別の映像を映せる。窓の大きさは9×8mmで、走査線は20本になる。

縦の解像度は20画素しかないが、横方向はそれよりずっと細かい。円筒が回る速度とLEDを点滅させる速さで決まるためで、製作者はPicoのPIO(プログラマブルI/O)を使ってLEDを駆動している。PIOはCPUとは独立して正確なタイミングの信号を出せる仕組みで、これによって「20p」の数字から想像するより良い画質が得られる。

部品は、Symbol Technologies製の21-02485ステッピングモーター、A4988ベースのモータードライバー、100マイクロファラッドのコンデンサー、Raspberry Pi Pico、LED5個と抵抗だ。無線で映像を流し込みたい場合はPico Wを使う。モーターは配線が特殊で、4ピンコネクターに入る手前の白い線を切ることで、バイポーラステッピングモーターとして使えるようになる。

LEDの明るさをそろえる作業には、実測が必要になる。5個のLEDが引く電流の合計は、PicoのGPIOの上限である50mAに収めなければならない。製作者の環境では、RGB LEDの赤チャンネルが120Ωで10.75mAとなり、これに明るさを合わせるため緑に260Ω、青に220Ω、白に82Ωを選んだという。使うLEDによって値が変わるため、実際に測ることを勧めている。

3Dプリントの注意点も具体的だ。円筒はピンホールの小さな欠けが映像にそのまま出るため、積層ピッチを細かく、速度を落として印刷する。側面は壁1枚分の厚みしかないので、Orca Slicerでは壁の生成方式を「Arachne」に設定し、充填率は100%にする必要がある。PLAでの収縮を見込んで、X軸とY軸を100.33%、Z軸を100%に拡大するとうまく収まる。0.2mmノズルに対応した設計データも用意した。

ソフトウェアはMicroPython 1.28で動く。パソコン側から映像を流し込むスクリプトも同梱しており、画像ファイルを表示用の形式に変換するツールも含まれる。円筒の設計はOpenSCADのモデルとして公開されているため、穴の数を増やして解像度を上げるといった改造もできる。

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FabScene編集部

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