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霧や濁った水の向こうで動く物を映すカメラ、米ブラウン大が網膜をまねて開発

米ブラウン大学の研究チームは、濃い霧や濁った水の向こうで動く物の形を映し出し、その位置を追跡できる撮像システムを開発した。論文は学術誌「Advanced Science」に掲載され、同大学が2026年10月1日に発表した。研究に参加したNing Zhang氏は「霧の中で物が見えにくいのは、物に当たって跳ね返った光が、目やカメラのレンズに届く前に霧で散らされるからだ」と説明する。

チームが手本にしたのは人の目の仕組みだ。同大学によると、網膜は景色全体を一度に記録するのではなく、輪郭や動き、ちらつきといった変化に主に反応し、変化を感じたときに神経の信号(スパイク)を脳へ送る。脳はその信号を使って、景色の像を少しずつ組み立て直している。

システムの入り口には、画素ごとに明るさの変化だけを出力するイベントカメラを使う。各画素は、明るさが一定以上変わったときだけ反応する。霧そのものの変化は動く物に比べてはるかに遅いため、センサーは霧をほぼ無視し、物に当たった光に主に反応する。ただし、出力されるのは形のない点の集まりにすぎない。そこでチームは、脳の視覚野をまねて、スパイクを単位に計算するニューラルネットワークを作り、点の集まりから物の像を組み立て直しながら、動く軌跡を1秒足らずで追えるようにした。

実験では、動く英数字や飛ぶ鳥のシルエットを、霧を満たした部屋や濁った水の水槽越しに映し出した。通常のカメラや人の目では認識できなかった物を、システムは映し出して追跡し、元の画像との一致度を示す構造類似度は最大96%だった。センサーの消費電力は数十mWで、ニューラルネットワークも変化のあった点だけを計算するため、一般的なものより少ない電力で動くという。

一方、研究チームは制約も挙げている。センサーは変化にしか反応しないため、カメラに対して動いている物しか映らない。現在得られるのは物のシルエットで、濃淡のある画像ではない。センサーは暗い場所で感度が落ちる。チームは今後、暗い場所向けに光を増幅する装置を前段に加えるほか、2台のイベントカメラを目のように並べて奥行きを測る方法などを検討する。研究チームは、自動運転車、嵐や山火事の中で人を捜すドローン、水中の航行への応用を想定している。

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FabScene編集部

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