米コーネル大学の研究チームは、チップの電極の上に狙った大きさの泡を作り、超音波で振動させて周りの液体の流れを操る技術を開発した。論文は米科学誌「Science Advances」に掲載された。同大の発表によると、掲載日は2026年10月14日だ。同大は、泡を使って動く微小なロボットや、薬を狙った場所に届けるような医療向けの微小な流体装置への応用を挙げる。
液体の中の小さな泡は、超音波を当てると表面が振動し、その動きが周りの液体に伝わって流れを生む。研究チームによると、これまでの多くの方法は、泡を構造の中に閉じ込めて使うため、泡の位置や大きさを1つずつ決めにくかった。研究室を率いる物理学のItai Cohen教授は「なぜ泡を閉じ込めようとするのか。必要な場所に、必要なときに作ればいい」と述べた。
チップ上の3mmの範囲に、直径6マイクロメートルの電極が並ぶ。研究チームは実験で、9個の電極を正方形に配置した。電極に電圧をかけて水を電気分解すると、先端に水素の泡ができる。電圧をかける時間が長いほど泡は大きくなり、大きさは10〜100マイクロメートルになる。
泡は、大きさによって大きく振動する周波数(共振周波数)が決まる。Cohen氏によると、40kHzの超音波を当てた場合、その周波数に合う大きさの泡だけが大きく振動し、強い流れを生む。同じ大きさの泡を隣り合う電極に作ると流れは左右対称になり、大きさが違うと一方が強く押すため、流れは片側に向く。横一列に並べた3つの泡は左から右へ、L字形に並べた5つの泡は曲がった流れを作った。
第1著者のZhiyuan Zhang氏は、泡を膨らませる電圧を変えて実験するなかで、電圧を上げると泡が雲のように次々と出る状態になることを見つけた。同氏は超音波を加えることで、この泡を決まった方向へ打ち出せる。論文によると、打ち出す向きは、当てる超音波の周波数で選べる。
要らない泡は、その電極の電圧を上げれば電極から外れる。Cohen氏は「泡の1つがうまく働かなければ、外れるまで膨らませればいい。それが離れたら、別の泡を作る」と話す。
研究は米国立科学財団(NSF)と米陸軍研究局(ARO)の支援を受けた。共著者で電気・計算機工学科のAlyosha Molnar教授は、今後も協力を続ける。Cohen氏は次の段階として、この仕組みで泡を作る回路をロボットに載せる設計を挙げている。