画面は、見るためのものだ。触っても、ガラスは平らなまま動かない。もし、表面そのものが盛り上がったりへこんだりして、形で情報を伝えられたら、画面との付き合い方は変わる。そんな「触れる」インターフェースの研究成果が、Science Advancesに掲載された。
研究チームが作ったのは、磁石の力で形を変える、柔らかいメタサーフェスだ。メタサーフェスとは、外からの刺激に応じて形を変える表面を指す。これまでの同種の装置は、人が手で触るには壊れやすかったり、人の動きに追いつけないほど遅かったりする課題があった。チームは、丈夫で素早く動き、しかも触りながら使える表面を目指した。
仕組みはこうだ。ゴムのように柔らかい画素を、縦横6個ずつ、合わせて36個並べる。その下に電磁石を36個置き、引き寄せたり反発させたりして、各画素を上下させる。表面の高さは、基準から下に5mm、上に3.5mm、合わせて最大8.5mmの範囲で変わる。36個を組み合わせれば、1030通りを超える形を作り出せる。
注目したいのは、情報のやり取りが一方通行でない点だ。表面が形を変えて人に何かを伝える。同時に、人が押したり引いたり、つまんだりすると、それを装置が読み取る。柔らかい設計のおかげで、こうした手荒な操作にも耐える。表面の中にはIMU(慣性計測)センサーが埋め込まれ、いまどんな形になっているかをその場で割り出す。LEDも組み込まれ、色や光で即座に反応を返す。形と光と手応えが、同時に行き交うわけだ。
この仕組みは、視覚に頼らずに情報を伝える表示や、画面に触れて直に操作する道具など、人と機械の新しいやり取りを支える土台になりうる。たとえば、目で見るだけだったボタンやスライダーが、指先で形として感じられるようになる。画面の中だけにあった操作が、手で触れられる立体として机の上に現れる日が、近づいているのかもしれない。