米国の「修理する権利(Right to Repair)」運動の活動家として知られるLouis Rossmann氏が、Bambu Labから法的圧力を受けてOrcaSlicerのフォーク「OrcaSlicer-bambulab」を自主削除した開発者Paweł Jarczak氏に対し、リポジトリを再公開した場合に最初の1万ドル(約157万円)の法的費用を肩代わりすると表明した。Rossmann氏のYouTubeチャンネルで2026年5月に公開された動画での発言で、米PCメディアTom’s Hardwareが報じている。
Jarczak氏は2026年4月、Bambu Labから「リバースエンジニアリング」「Bambu Studioのなりすまし」「認可制御のバイパス」といった主張と、停止命令書(cease and desist letter)の準備を告げられ、リポジトリと配布物一式を自主削除した経緯がある。Rossmann氏は動画でBambu Labの法的主張を「ゴミのような中身」だと痛烈に批判し、「自分が買って所有しているハードウェアを、買ったときと同じやり方で使えるコードのために、開発者がこれだけの法的負担を背負わされる必要はない」と訴えた。
動画公開後、視聴者から「寄付の窓口はどこか」というコメントが寄せられたのに対し、Rossmann氏は「現時点で寄付窓口は設けていない。動画の目的は寄付集めではなく、コードを再公開するか決断する前のJarczak氏に、数万人の味方がいることを可視化することだ」と返答した。同時に「資料を見たかぎり、この案件を引き受けるほど愚かな法律事務所が現れるとも思えないが、もし起きたら最初の1万ドルは自分が出す」とも書き添えている。動画ではこのほか、MazdaがHome Assistant連携コードの開発者に圧力をかけた件や、Haierがエアコン連携コードのDIY開発者に圧力をかけた件にも触れ、ハードウェアメーカーが「リバースエンジニアリング」を盾に個人開発者を萎縮させる構図の繰り返しを指摘している。
3Dプリンター購入者が、メーカーの認可制御に対抗するコードを書く開発者を、法的費用という非対称な負担から守る試みは、パーソナル・ファブリケーションを巡る所有権の議論にひとつの実弾的な選択肢を示した格好だ。Jarczak氏自身からの返答はまだ公表されていない。