Freddie Hong氏が、地球を離れて宇宙空間にいる人類の数を毎日表示する卓上アート作品「ORBIT」を公開した。コロナ禍のロックダウンの最中から「いま宇宙にいる人」の数を追いかけてきたという製作者が、その情報を自宅で受動的に得られる物理デバイスとして自作したもので、本体はESP32 C6-mini-1ボード、500mAhのリポバッテリー、2桁の赤色セグメントディスプレイを基板に集約した小型機だ。プロジェクトはRedditのr/esp32コミュニティで2026年4月下旬に紹介され、製作者本人による紹介投稿は250以上のアップボートを集めている。
筐体は50×50×50mmの立方体で、ディスプレイ部分は深く彫り込まれた凹面になっている。素材はHPのMulti Jet Fusion方式(粉末焼結式の業務用3Dプリント技術)でプリントしたナイロン製で、Stuart Semple氏の超黒塗料「Black 4.0」を手塗りで仕上げた。日に数回、製作者が自前で運用する半自動APIから「現在カーマンライン(高度100km)を越えて宇宙空間にいる人数」を取得し、ディスプレイを更新する。製作者は「自分の手元に置いて2年使ってきたが、想像以上に頻繁にこの数字が変わることに驚いた」と書いている。
回路のプロトタイピング自体は早かったものの、最終的なディテールやフォームファクターを詰めるのに苦労したという。PCB設計、バッテリー回路、ボタンやスライダーの選定、認証や安全試験への配慮はいずれも製作者にとって初めての領域だった。プロモーション動画は「2001年宇宙の旅」を参照したカメラワークで、Sony a7で撮影し音響は音響アーティストの知人が制作。コメント欄では「AIツールは使ったのか」と問われ、製作者は意図的に使わなかったと答えている。
第1版は99台限定の手組みエディションで、各個体に番号と所有者名の刻印、専用ポータルへのアクセス権が付く。DIYキット形式でのリリースも検討されており、製造元と協力しながらコストを抑える調整が続いている。なお現状の2桁ディスプレイで足りなくなる日が来るかについて、Reddit上では「対数スケールに切り替えればよい」というユーモラスな提案も出ている。