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樹脂で覆うだけで青色の量子ドットLEDの寿命が5000倍に、MITが解明

米MITの研究チームが、量子ドットで作る発光ダイオード(QD-LED)を樹脂で覆うだけで、その寿命を大きく延ばせることを示した。とくに、これまで長持ちしなかった青色で、一部の素子は寿命が5000倍以上に延びた。赤色でも約8倍になる。成果は学術誌Science Advancesに掲載された。

量子ドットは、数ナノメートルの半導体の粒で、大きさによって純度の高い色に光る。粒を小さくすれば青、大きくすれば赤と、大きさで色を選べるのが特徴だ。すでに画質の良いディスプレイに使われているが、いまは別の光源で照らして光らせている。これを電気で直接光らせるQD-LEDにできれば、バックライトがいらず、より効率よく、薄く単純に作れる。QD-LEDが初めて示されたのは20年ほど前だが、動かすうちに寿命が尽きやすく、とくに青色の弱さが実用化の壁になってきた。

なぜ寿命が尽きるのか。研究チームは、動いているQD-LEDの断面を電子顕微鏡で細かく調べた。すると、光る量子ドットの層も、電子を運ぶ酸化物(ZnMgO)の粒の層も、動作とともに少しずつやせ細り、粒どうしがくっついて粗くなっていた。層の厚みが不ぞろいになると、電流の流れる道が乱れ、効率が落ちる。同時に、装置の中で酸素や水素の原子が生まれ、あちこちへ移動していた。

犯人を絞り込むと、鍵は水素だった。水素があると、ZnMgOの粒が粗くなる現象が進む。一方、酸素だけではこの粗大化は起きにくい。動作中の発熱も測ったが、温度の上がり幅は数度にとどまり、主な原因ではなかった。つまり、寿命を縮めているのは熱ではなく、内部で動き回る原子と、それに伴う形の崩れだった。

そこで効くのが、アクリル系の樹脂だ。ガラスのふた側に塗り、素子には直接触れさせない。樹脂は、酸素や水素の原子が生まれて動くのを抑える。ZnMgOの表面と反応して酸素を取り込み、光る層へ酸素がにじみ出るのを食い止める。原子の動きが止まれば、粒の粗大化も層のやせ細りも進まず、素子は長持ちする。手順は単純で、大量生産にも向く。

赤や緑はすでに実用に近く、残る青の寿命が、フルカラー化の最後の関門だった。電気で直接光らせる方式は、バックライトを使う今の画面より消費電力を抑えやすい。研究を率いるVladimir Bulović教授は、QD-LEDの実用化を阻んできた問題を解く手がかりになると語る。純度の高い色で、紙のように薄く、大きな面で光る光源として、テレビやスマホの画面、ARやVRの機器、大きな照明面などへの応用が見込まれる。

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FabScene編集部

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