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米MITが油圧ショベルのアーム型操作装置を開発、未経験者が初日から熟練者並みに

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、油圧ショベルをジョイスティックなしで動かす操作装置を開発した。ショベルのアームとバケットを縮めた形の機械式アームを操作者が手でつかみ、自分の腕を動かすと、6面の没入型ディスプレイに映る仮想のショベルが同じ動きをする。未経験者と熟練者に1日1時間ずつ7日間の訓練を受けてもらったところ、この装置では未経験者が初日から熟練者と同等の成績を出した。開発は2018年に始まり、日本の住友重機械工業の研究者が加わっている。

油圧ショベルの運転は、ジョイスティックの前後左右への動きと、ブームやアーム、バケット、キャブの回転とを頭の中で結び付ける作業を伴う。研究チームはこれを「メンタルマップ」と呼ぶ。ゲームセンターのクレーンゲームに近い感覚だが、ショベルの動きははるかに複雑で、岩を動かす、地面をならす、瓦礫を片付ける、基礎を掘るといった作業をこなせるようになるには数カ月から数年かかる。訓練は実機を教習コースで運転する形が一般的だ。

この共同研究は、重機オペレーターの高齢化が進み、後継者の育成に時間がかかるという住友重機械工業側の問題意識から始まった。MIT機械工学科の主任研究員であるHermano Krebs氏の研究グループは、人が手足をどう制御し、どうすれば機械と無理なくやり取りできるかを、身体リハビリテーションの研究を通じて調べてきた。頭の中の変換作業そのものをなくせば訓練期間を縮められる、というのが出発点だ。行き着いたのが、ショベルのアームとバケットに形を似せた機械式アームだった。似た形なら、操作者は動きをまねるだけで済む。

装置は「World-Space Interface(WSI)」と名付けられた。ワールドスペースとは自分の外側にある世界、この場合はキャブの外側を指す。Krebs氏は、これまで操作者が頭の中で組み立てていた外界の操作手順を、岩や土をすくう動作をまねるだけで計算機側が変換してくれるようになったと説明する。

実験では、建設現場や幹線道路、林道、川岸、鉱山、都市部、農村部など15種類の仮想環境を用意した。作業は砂や砂利のすくい取りと投下、溝を掘ってならす作業、路上の瓦礫の撤去、水際の木の枝の除去、岩の破砕など、1週間の教習コースで扱う内容に合わせた。参加者は難易度を上げながら訓練し、前後の成績を比べた。ジョイスティック式のシミュレーターでは、未経験者は訓練を重ねて上達こそしたものの、熟練者との差が最後まで縮まらなかった。

研究チームは次の段階として、機械式アームに力覚を持たせる作業を進めている。岩の山をすくう動作をまねたときにアーム側が反力を返し、重さが手に伝わるようにする狙いだ。建設機械の分野ではCaterpillar、Hyundai、コマツが仮想シミュレーターの開発を進めているが、いずれも従来型のジョイスティック操作を前提としており、習熟に時間がかかるとしている。Krebs氏は、WSIをキャブ内に外骨格のように取り付ける使い方のほか、危険な現場では離れた場所のトレーラーに座って遠隔操作する使い方も想定している。

成果は学術誌『Journal of Computing in Civil Engineering』にオープンアクセスで公開された。掲載は同誌の2026年11月号にあたる。

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FabScene編集部

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