英Raspberry Piは2026年10月6日、同社のOS「Raspberry Pi OS」と同じデスクトップ環境を一般的なPCやMacで使える「Debian Trixie with Raspberry Pi Desktop for PC and Mac」の新版を公開した。同社のWebサイトから無料で入手できる。PC・Mac向けの版は、Debianの旧版「Bullseye」をベースにしたものが同社サイトに残るだけで、その後は更新が止まっていた。
新版はDebian 13(Trixie)をベースにし、32ビット版から64ビット版に切り替えた。Debian自体がPC向けの32ビット版のサポートを終えたためだ。同社は、過去15年ほどの間に作られたPCや、Intel製のCPUを積んだMacの多くで動くとしている。Apple独自のチップ(Apple Silicon)を載せたMacは、Debianの対応がまだ実験段階のため使えない。
デスクトップには、Raspberry Pi OSで導入した設定画面「Control Centre」や新しいドックなど、最新の変更を反映した。遠隔操作サービス「Raspberry Pi Connect」のクライアントも加えた。PCやMacをRaspberry Piと同じ一覧に並べ、Webサイトから画面共有やリモートターミナルで操作できる。Raspberry Piでは本体固有のハードウェアIDで機器を見分けるのに対し、PCでは設定時に機器の名前を入力する。
配布形式はISOファイルで、サイズは2616MBだ。USBメモリーに書き込み、そこからPCを起動して使う。起動時のメニューで「run with persistence」を選ぶと、加えた変更をUSBメモリーに保存できる。同じメニューから保存内容を消し、初期状態に戻すこともできる。内蔵のHDDやSSDに入れる場合は、デスクトップのショートカットなどから、Debianで標準的に使われるインストーラー「Calamares」を起動する。
PC・Mac版の始まりは2016年にさかのぼる。デスクトップ環境をRaspberry Pi向けに作り替えていた同社のSimon Long氏が、最高経営責任者(CEO)のEben Upton氏から「Macで動いたら面白いのでは」と持ちかけられたのがきっかけだという。同年のクリスマスには、公式雑誌「The MagPi」(現Raspberry Pi Official Magazine)の付録DVDとしてライブ版を配り、2017年にはインストールできる版を出した。
Long氏によれば、更新を求めるメールは毎週2~3通届いていた。同社は収益をハードウェアの販売で得ており、ソフトウェアには料金を取っていないため、PC版の保守に時間を割きにくかったと説明している。