UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)を中心とする国際研究チームが、窓に貼って太陽光と室内の照明の両方から発電できる半透明の太陽電池を開発した。ビルの広い窓面を発電に使えるようにする技術で、太陽光の当たらない夜や曇りの日でも、室内の光から電気を生み出せる。成果は2026年7月17日、学術誌Advanced Energy Materialsに発表された。
開発した太陽電池は、太陽光の30%を通す。普通の窓ガラスが80〜90%を通すのと比べると視界はやや暗くなるが、その代わりに窓が発電する。チームは30×30cmのパネルを試作し、明るい室内光(1000ルクス)の22%を電気に変え、太陽光では14%を電気に変えられることを確かめた。室内光からこれだけの電力を取り出せたのは記録的な水準だという。
発電層に使ったのは、屋外の太陽光パネルで採用が増えているペロブスカイトという材料だ。シリコンを使う従来のパネルと違い、材料の組成を調整することで室内光に多く含まれる波長を効率よく吸収できる。チームはコンピューターによる計算で、透明さと発電効率を両立できる層の並びと厚さを割り出した。その結果、光を吸収するペロブスカイトの層を185ナノメートル(髪の毛の約500分の1)まで薄くした。一般的な太陽電池の3〜4分の1の薄さだ。
透明さを保つ工夫は電極にも及ぶ。ペロブスカイト太陽電池では、電気を取り出す電極に金が使われ、光を遮りやすい。チームは金の薄い層を酸化モリブデンの透明な層で両側から挟み、反射を抑えて光を通しやすくした。さらに、電子が途中で捕まって電気になり損ねる「トラップ」と呼ばれる欠陥を減らす分子を加え、材料が時間とともに劣化するのも抑えた。試作した素子は、標準的な加速耐久試験で300時間続けて光を当てた後も、効率の80%を保った。
筆頭著者でUCL材料発見研究所の博士課程に在籍するSiming Huang氏は、この窓が日光を一部遮ることで色付き窓のように働き、冷房に使う電力の一部を節約できると説明する。冷房にエネルギーを多く使う暑い地域で特に役立つという。責任著者のMojtaba Abdi-Jalebi博士は、次の段階として車の窓や高層ビルの曲面、さらに衣服やバックパックのような柔軟な面にも貼れる太陽電池を目指すと述べている。窓用フィルムのように手軽に貼れる形にできれば、建物や車の外観を大きく変えずに発電できるようになるとの見通しを示した。