コード不要でArduino開発 グラフィカルプログラミング環境「Visuino」

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メイカーコミュニティサイトHackster.ioで、ArduinoやESP32、STM32マイコンをビジュアルプログラミングで開発できるソフトウェア「Visuino」の詳細な使い方が紹介された。このツールは、C++でのプログラミングが障壁となっているユーザーに向けて、ドラッグ&ドロップによるブロック接続だけで複雑な電子プロジェクトを作成できる環境を提供する。特に初心者や迅速なプロトタイピングを求める開発者向けのツールとなっている。

Visuinoは現在、StandardとPro版の2つのバージョンが提供されており、Pro版では試用ライセンスでより多くの機能を利用できる。最新版(記事執筆時点で8.0.0.146)では、Arduino UNO、ESP32、STM32など幅広いマイコンボードに対応しており、従来のテキストベースプログラミングから完全に脱却した開発環境を実現している。

直感的なインターフェースで複雑な制御も簡単に

Visuinoの最大の特徴は、その直感的なユーザーインターフェースにある。オブジェクトインスペクターで選択したコンポーネントの設定を調整し、コンポーネントパレットから必要な部品をドラッグして接続するだけで、本格的な電子回路制御システムを構築できる。ビルドパネルではコンパイル過程のログを確認でき、エラーの追跡も容易だ。

記事では実際のプロジェクト例として、DHT11センサーを使った温湿度測定ステーションの作成手順が詳しく紹介されている。このプロジェクトでは、DHT11センサーをArduino UNOのアナログピン1(デジタル15)に接続し、Packetコンポーネントを通じてシリアル通信でデータを送信する仕組みを、一切コードを書くことなく実現している。

具体的な手順では、コンポーネントパレットからDHT11コンポーネントを選択してプロジェクトにドラッグし、センサーの出力ピンをボードのデジタルピンに接続する。次にPacketコンポーネントを追加し、2つのアナログ要素(温度用0-50°C、湿度用0-100%)を設定して、DHT11からの出力を適切に処理する構成を作成する。

シリアルモニターでリアルタイム監視も可能

完成したプロジェクトは、ビルドボタンをクリックするだけでコンパイルされ、アップロードボタンでUSB接続されたボードに直接転送される。Visuinoには内蔵のシリアルモニターも搭載されており、Arduino IDEと同様にリアルタイムでデータのやり取りを確認できる。測定結果はInstrumentsやScopeという2つの方法で視覚的に確認可能だ。

プラットフォームパネルでは異なるプラットフォームのインストールや既存プラットフォームの更新が可能で、Visuinoが必要に応じて自動的に処理する。ライブラリパネルでは追加ライブラリのインストールができるが、こちらは自動更新されないため手動での管理が必要となる。

この記事は元々ポルトガル語でVisuinoユーザーのSwellington Soares氏によって執筆されたもので、Arduino、IoT、組み込みシステムに興味を持つ開発者にとって実用的で視覚的な開発手法を紹介している。Visuinoにより、特に初心者や迅速なプロトタイピングを必要とする開発者の作業プロセスが大幅に簡素化されることが実証されている。

関連情報

Visuino公式ダウンロードページ
Hackster.ioプロジェクトページ
元記事(ポルトガル語)

FabScene編集部