
ニュージーランドのKEA Studiosが、オークランドの電車網をリアルタイムで可視化するLEDマップ「Auckland Live Train Map」を発表した。ESP32-C3マイクロコントローラーと152個のアドレサブルRGB LEDを使用し、Wi-Fi経由で取得したライブデータに基づいて電車の位置を光の点として表示する。製品は完全組み立て済みで、USBケーブルを接続するだけで使用できる。
同製品はオークランド交通局の公開APIからリアルタイムデータを取得し、毎分更新される電車位置情報をLEDマップ上に反映する。サイズは25cm×7cmのコンパクト設計で、机上やリビングでの使用に適している。明度調整機能により昼夜を問わず適切な視認性を確保でき、Wi-Fiパスワードは複数箇所で記憶可能だ。
技術仕様としてESP32-C3チップ(160MHz RISC-Vシングルコア、4MBストレージ)を搭載し、Wi-Fi 4(802.11b/g/n)に対応している。LEDには1.6mm×1.5mmの小型アドレサブルRGB LED(WS2812B互換)を152個使用し、鮮明な電車経路を描画する。アンテナはTexas InstrumentsのCC2430DB リファレンスデザインを基にした高性能設計を採用している。
オープンソース設計で継続的改良
開発者のCDFER氏(Chris)はGitHubでハードウェア設計とファームウェアをオープンソースとして公開している。回路基板はニュージーランドで設計され、JLCPCBの製造制限に適合するよう最適化されている。ファームウェアの更新はWebブラウザーベースのツールで簡単に行え、新機能の追加や不具合修正が継続的に提供される。
初回起動時はWebインターフェースでWi-Fi認証情報を設定し、設定完了後は自動的にデータ取得を開始する。電源は5V USB-C対応で、最低0.5A、推奨2AのUSB-A充電器が必要だ。USB C-Cケーブルにも対応しているが、この場合は別途ケーブルを用意する必要がある。
製品には本体、1m白色シリコンUSB A-Cケーブル、3Dプリント製スタンド2個が付属する。価格は公開されていないが、現在5個の在庫があり、バックオーダーも受け付けている。CDFER氏は2034年まで少なくとも10年間のデータ提供サポートを約束している。
同様のコンセプトの製品として、アメリカのTraintrackr社も各地の交通網向けライブLEDマップを提供している。CDFER氏は他にもESP32ベースのCO2モニター「Kea CO2」やESP32用キャプティブポータルライブラリーなど、複数のオープンソースプロジェクトを手がけている。
Auckland Live Train Mapは交通情報の可視化と電子工作の実用例として注目される製品だ。リアルタイムデータの活用、小型LEDアレイの制御、Wi-Fi接続機能など、IoTプロジェクトの基本要素を組み合わせた完成度の高い作品となっている。
YouTubeではタイムラプス動画も公開されており、実際の電車運行に合わせてLEDが移動する様子を確認できる。オープンソース設計により、他の都市の交通網への応用や機能拡張も期待される。