
中国の太陽電池メーカーLONGiが、太陽光の電力変換効率34.6%を達成する新しい太陽電池を開発した。この数値は、従来の単独型太陽電池の理論限界とされる33.7%の壁を超えるもので、タンデム型による太陽光発電技術の大きな進歩として注目されている。研究成果は2025年7月7日発行の科学誌Natureに掲載された。
今回の技術は、2種類の材料を重ね合わせたタンデム構造が特徴だ。蘇州大学との共同研究で開発された新素材「HTL201」により、太陽電池内部でのエネルギー損失を大幅に削減することに成功した。従来の太陽電池では、光エネルギーを電気に変換する際に多くのエネルギーが熱として失われていたが、この新技術により効率的な変換が可能になった。
この新素材により、太陽電池内部でのエネルギー損失がさらに抑制され、約2Vの高い電圧を生み出すことができた。結果として、太陽光を電気に変換する効率が34.6%に達し、従来技術の限界を超えることに成功した。
LONGiの研究チームは、この成果に至るまでに段階的な技術改良を重ねてきた。2024年9月には効率33.9%を達成してNature誌に掲載され、2025年6月には中国科学院との共同研究成果をScience誌に発表している。今回の34.6%達成により、3つの異なる技術革新が世界トップレベルの科学誌に認められたことになる。

これらの研究成果は、太陽電池効率の世界記録を管理する権威ある記録表に正式に登録されている。LONGiは大学や研究機関との連携により、太陽光発電技術の継続的な改良に取り組んでいる。
関連情報
LONGi公式発表(積層型太陽電池研究)
Nature論文「Efficient perovskite/silicon tandem with asymmetric self-assembly molecule」