
Raspberry Piを使った小規模クラスター環境の構築が教育機関や個人開発者の間で広がる中、サーバーラック風のデザインを採用した4台収納用ケース「Rackberry Pi」が3Dプリント用データとしてMakerWorldで公開された。設計者は「想像力に欠ける名前だが許してほしい」とコメントしているが、実用性と見た目を両立させた完成度の高い設計となっている。
ケースはRaspberry Pi 3、4b、5の各モデルに対応し、マウント穴の位置が同一であることを活用している。前面はサーバーキャビネットを模したデザインで、左側の白い部分は取り外し可能となっており、テキストの印刷やステッカーの貼り付けにより各Piの用途やクラスター全体の機能を表示できる。
ケースの左側面には120×25mmファンを搭載可能なスペースを確保し、エアフローを提供する。各「ラック」部分には小さな換気グリルが設けられており、空気が下から上へ流れるとともに、背面や側面からも排気される構造だ。この冷却システムにより、4台のRaspberry Piが同時稼働する際の熱問題に対処している。

右側面には直角USBケーブル用のスペースを確保しているが、ケースの完全組み立て前に配線する必要がある。設計者は「Raspberry Pi 3の電源ケーブル用スペースが十分かは不明」と述べており、手元にPi 3がないため未検証としている。電源供給については、サイドパネルを外すことなく運用できるPoE(Power over Ethernet)を推奨している。
ケースはFusion 360を使用して数日間で設計され、8本のネジで組み立てられる。Raspberry Pi本体は取り外し可能なトレイに4本のネジで固定される仕組みだ。背面からのI/O接続用に十分なスペースが確保されており、SDカードへのアクセスを容易にするカットアウトも設けられている。
設計者は「まだ初心者だが、どんな意見でも歓迎する。ダメだと思っても構わない」と謙遜しているが、実際には冷却、配線、メンテナンス性を総合的に考慮した実用的な設計となっている。