
カナダのEVO-IN-MOTIONがKickstarterで、初心者向けマイコン学習キット「Project-Based Microcontroller & Embedded Kit for Beginners」の資金調達を実施している。Raspberry Pi Picoと同じくRP2040をベースとしたマイコンを使う同キットでは、ブレッドボードでの回路組み立てから始まり、最終的に手持ちゲーム機を完成させることで、マイコンの基礎を体系的に学習できる。
キットの中核となるのは、Type-C接続に対応したRP2040ベースのシングルボードマイコン「STEPico Microcontroller」だ。学習者はまずブレッドボード上で基本的な回路を組み立て、センサーやディスプレイなどのモジュールの動作原理を理解する。その後、専用設計されたPCBを使用して、より実用的なデバイスの製作に進む構成となっている。
プログラミング言語にはMicroPythonを採用し、初心者でも取り組みやすい環境を提供している。チュートリアルではAI支援コーディングの活用方法も紹介しており、学習者は複雑なコードを一から書くのではなく、システム設計や問題解決に集中できるという。
最終プロジェクトとして製作するのは、液晶ディスプレイとジョイスティックを搭載した手持ちゲーム機だ。このデバイスを通じて、GPIO制御、センサー入力処理、画面表示制御といった組み込みシステム開発の基本要素を実践的に習得できる。

同社によると、対象者はマイコン初心者から、より深い理解を求めるArduinoユーザー、DIYメイカー、エンジニアリング学生まで幅広く想定している。付属のフルカラーチュートリアルブックでは、基礎理論から実践的なプロジェクトまでを段階的に解説しており、単なる手順の模倣ではなく原理の理解を重視した構成となっている。
さらに、同社の既存製品「Lab-On-The-Go」と組み合わせることで、回路の電圧や信号をリアルタイムで測定・観察することも可能だ。これにより、ハードウェアとソフトウェアの相互作用をより具体的に理解できるとしている。
プロジェクトの資金調達期間は2025年8月15日まで。基本的な学習キット単体から、複数の関連キットを組み合わせたパッケージまで、複数の支援プランが用意されている。同社は過去にも電子工学学習キットのクラウドファンディングを複数回成功させており、今回のキットを「初心者レベルシリーズの最終ピース」と位置付けている。