AI搭載のキノコ自動栽培装置「Sproushi」、最短7日で収穫可能

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オランダのCelium BVが開発したAI搭載キノコ栽培装置「Sproushi」が、クラウドファンディングサイトKickstarterで資金調達を実施している。同製品は専用カプセルを挿入するだけで、集中力向上に良いとされる「山伏茸(ヤマブシタケ)」やストレス軽減効果があるとされる「霊芝(レイシ)」などの機能性キノコを7日以内で自動栽培できることを特徴とする。機能性キノコとは、一般的な食用キノコと比べて特定の栄養成分や健康に良いとされる化合物を多く含むキノコの総称だ。

Sproushiは「SproutSense AI」と呼ばれる独自システムにより、内蔵カメラとセンサーでキノコの成長段階を自動判別し、湿度や気流、光量を最適に調整する仕組みを採用している。利用者はキノコの種類に応じた専用カプセルを装置に入れ、水を追加するだけで栽培が開始される。

装置はキノコの成長に必要な高湿度環境を実現するため、超音波加湿器を搭載している。80%以上の湿度を維持しながら、キノコの成長段階に応じて気流を調整する機能を備える。具体的には、菌糸が基質内で成長する段階では高CO2環境を、キノコが出始める段階では高酸素環境を自動的に作り出す。

装置の動作音は35dBと静音設計で、一般的なノートパソコン程度の音量に抑えられている。また、成長過程は内蔵カメラによってタイムラプス動画として記録され、収穫後にアプリで確認できる。

栽培可能なキノコはヤマブシタケ、ヒラタケ、タモギタケ、トキイロヒラタケ、エリンギ、マッシュルームなど複数種類に対応する。各カプセルからは3〜4食分のキノコが収穫でき、価格は15〜19ドル(約2300〜2900円)に設定されている。

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拡張アクセサリーで葉物野菜の栽培にも対応

Sproushiは別売りアクセサリーの追加により、キノコ栽培以外の用途にも対応する。「SproutTray」を装着することで水耕栽培による葉物野菜や微細野菜の栽培が可能になる。また「SproutDock」により最大3台までの縦積み接続ができ、1つの電源で複数台を同時運用できる。

装置本体の寸法は長さ38cm、幅19cm、高さ31cmで、パウダーコーティング仕上げの金属製筐体を採用している。タッチスクリーンによる直接操作のほか、専用モバイルアプリを通じた遠隔操作にも対応する。

同社によると、Sproushiは2年間の開発期間を経て量産段階に入っており、米国向けには2025年8月から、EU・英国・オーストラリア向けには同年11月から出荷を開始する予定。キノコカプセルは各地域の農場から現地調達することで、生物学的安全性規制への適合と鮮度の確保を図るとしている。

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FabScene編集部

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