
個人開発者のPDConAutoTrack氏が、スマートフォンやアプリを使わずに家庭の給湯システムを操作できる物理コントローラーを自作し、GitHubでオープンソースとして公開した。ESP32-S3マイコンと2.4インチTFTディスプレイ、ロータリーエンコーダーを組み合わせた装置で、配線図や設定ファイルを含む完全な技術情報を提供している。
同氏の自宅ではスマート給湯システムとHome Assistantによる自動化を導入していたが、家族が給湯設定を変更するたびにスマートフォンでアプリを開く必要があった。この不便さを解決するため、直感的に操作できる物理インターフェースを設計した。
システムは屋根裏の給湯タンクに温度センサーを設置し、ESP32経由でHome Assistantに温度データを送信している。制御装置は現在温度と目標温度の表示、手動ボイラー操作、寝室の在宅センサーとの連携による不在時制御まで対応している。
コントローラーは4つのページで構成された多機能インターフェースを持つ。1ページ目は給湯温度とボイラー状態の表示、2ページ目は手動オーバーライド機能、3ページ目は寝室と浴室の在宅状況表示、4ページ目はディスプレイの明度調整となっている。
ロータリーエンコーダーのボタンを押すことでページを切り替え、回転操作で各種設定を変更できる。画面描画は全てESPHomeのlambdaコードで処理され、Robotoフォントを使用した見やすいインターフェースを実現している。
技術的にはESP32-S3 N16R8を採用し、PSRAMを活用してTFTディスプレイの描画処理を高速化している。通常のESP32ではメモリ不足で画面描画が困難なため、上位モデルが必要だった。320×240解像度のILI9341互換ディスプレイとEC11ロータリーエンコーダーをユニバーサル基板で接続し、木製スタンドに組み込んでいる。
Home Assistantとの統合により、物理コントローラーでの操作内容は自動的にスマートホームシステムに反映される。逆にHome Assistant側からの自動制御も継続して動作し、不在時の自動停止や温度監視による効率運転を維持している。
同氏はプロジェクトの全体をGitHubで公開し、配線図、部品リスト、ESPHomeの設定ファイルを含む完全な技術情報を提供している。プロジェクトで使用された部品は全てAliExpressなどで入手可能な汎用品で、総コストは数千円程度となっている。