まるで写真立てのようなスマートディスプレイ AI搭載E-Paperダッシュボード

FabScene(ファブシーン)| テクノロジーの「現場」を記録するメディア
画像出典元hacksterio

メイカーコミュニティサイトHackster.ioに、デスクに置いた写真立てのような見た目でありながら、運動データや天気予報を自動更新し続けるスマートディスプレイのプロジェクトが投稿された。電子ペーパーを使った7.5インチの「E-Paper Dashboard」は、StravaやGarminの運動記録、天気予報、さらにはAIが生成する励ましのメッセージまでを、紙のような質感で常時表示する。電力消費が少ない電子ペーパーの特性を活かし、数か月間のバッテリー駆動を目指している。

このプロジェクトを投稿したrsappia氏は、ケガからの回復中に「スマートフォンを取り出さなくても、一目で運動の進捗を確認できるツールが欲しい」という発想から開発を開始したという。以前にHackster.ioで公開したソーラー電子インク気象ステーションの経験を活かし、ESP32マイコンとRaspberry Pi上で動作するWebバックエンドを組み合わせたシステムを構築している。

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モジュール設計で自由にカスタマイズ可能

ダッシュボードには複数のウィジェットが搭載されており、最新の活動記録(距離、時間、ペース)、3日間の天気予報、週間・月間の統計、アクティブなトレーニング日を示すカレンダー表示などの情報を表示する。活動日と休息日で自動的にレイアウトが切り替わり、活動日には最新のワークアウトと天気情報を中心に、休息日には統計と進捗を重視した表示になる。

プロジェクトはモジュール設計を採用しており、開発者でなくても独自のウィジェットを作成できる。各ウィジェットは最新の活動データ、週間・月間サマリー、天気予報、現在の日時、ディスプレイサイズなどの情報を含むコンテキスト辞書を受け取り、これを基に自由にカスタマイズした表示を作成できる。

特徴的なのは、レーダーチャートによる過去4週間と当月の時間・距離比較、回復時間と慢性負荷を示すリカバリーメトリクス、週間強度統計など、本格的なトレーニング分析機能を備えていることだ。ブラウザベースのレイアウトエディターも搭載し、JSONファイルを編集することなく視覚的にウィジェットの配置を調整できる。

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AIキツネが状況に応じた励ましメッセージを生成

プロジェクトの最新機能として、AIが生成する励ましメッセージ機能が追加された。ダッシュボード上に登場する小さなキツネのキャラクターが、直近の活動、回復状態、睡眠、天気などの実際のデータを基に、状況に応じたモチベーション向上メッセージを生成する。

このAI機能には、GoogleのオープンソースモデルGemmaの軽量版が使用されており、Raspberry Pi 5(4GB)上でローカル実行される。クラウドに依存しない設計により、プライバシーを保護しながら個人に最適化されたメッセージを提供する。

例えば、ケガで回復中の開発者が1kmの短い散歩を16分で行った際、AIは「筋肉は散歩を感謝しているけれど、甘やかしの準備もできているよ。一息ついて、雲に心をクリアにしてもらおう」といったメッセージを生成している。活動を称賛しつつも回復の重要性を伝える、絶妙なバランスの取れた内容となっている。

現在、さらなる低消費電力化に向けた最適化が進められており、1回のLiPoバッテリー充電で数か月間の連続動作を目指している。また、クラウドベースのバックエンド移行により、Raspberry Piを必要としないより簡単なセットアップも検討されている。

投稿者は今後のアップデートとして、活動の種類に応じた表示の切り替え、より多くのデータソースとの連携、軽量版の提供などを予定しており、コミュニティからのフィードバックも積極的に受け付けている。プロジェクトの詳細はHackster.ioで公開されており、今後GitHub上での本格的なコードリリースも予定されている。

関連情報

E-Paper Dashboard — Where Sport, AI and Paper Meet(hackster.io)

FabScene編集部

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