Espressifが2026年8月5日、IoT機器向けの基盤「ESP RainMaker Neo」を公開した。機器のファームウェアからクラウドの中身、スマートフォンのアプリまでを一式そろえたもので、これまで非公開だったクラウド側を含めて全体がApache License 2.0のもとに置かれる。利用者は自分のAWSアカウントへそのまま展開でき、インフラとデータの主導権を手元に置ける。AlexaとGoogleホームとの連携部分も、それぞれのライセンスで公開されている。
2020年に始まった従来版は、現在ESP RainMaker Classicと呼ばれる。こちらも開発者自身のAWSアカウントへ展開する設計で、サーバーの管理を最小限に抑えながら使った分だけ支払う構成だった。公開されていたのは機器側のファームウェアとアプリ、管理画面、そしてクラウドを叩くためのAPIまでで、クラウドの中身そのものは閉じていた。Neoはその最後の一枚を外したことになる。
作り直した理由は、AWS側の事情の変化にある。同社によれば、Classicを設計した当時はAWS IoTのOTA更新が高価で、幅広い製品を支える基盤には合わなかったため採用を見送った。機器の状態を保持するDevice Shadowにも制約があり、データの持ち方に影響した。その後AWSの機能と価格が変わったため、NeoではDevice ShadowやThing Groups、AWS IoT OTAといった標準の仕組みを直接使う。利用者と機器の権限もIAMの制御に寄せた。結果としてRainMaker独自の作り込みが減り、保守する範囲が小さくなっている。
使う側の互換性にも配慮がある。機器側のAPIはClassicとほぼ同じで、スマートフォンアプリのSDKも共通のまま、Neo向けの通信経路が足された。Classicに慣れた開発者は学び直しなしで移れる。ただしクラウドの構造は別物なので、Classicで動いている製品をそのままNeoへ移すことはできない。同社はNeoを新規の開発向けと位置づけ、Classicは引き続きサポートするとしている。始め方は3通りで、同社が用意した公開環境をそのまま使う方法、パッケージ版を自分のAWSへ展開する方法、ソースから組み立てて展開する方法がある。Matterにも機器とアプリ、クラウドの3層で対応する。