個人開発者のartkeller氏が、現行のESP32全14種をデータシートと突き合わせて比較した資料をGitHubで公開した。仕様の全比較に加え、深い休止状態でのふるまい、暗号処理と後量子暗号への対応、1つのチップで足りないときの組み合わせを収める。Espressifとは無関係の、コミュニティが維持する資料だとしている。
ESP32を選ぶとき、かつては「C3かS3か」で済んでいた。いまは14種類ある。しかも違いが効いてくる部分ほど、別々のデータシートに散らばっている。低消費電力の仕組みが専用コアなのか補助回路なのか、まともなセキュアブートを持つのはどれか、量子コンピューター後を見据えた暗号が今すでに動くのはどれか。同氏は毎回調べ直すのをやめ、1つの表にまとめた。
対象はESP32、S2、S3、C2、C3、C5、C6、C61、H2、H4、P4、E22、H21、S31になる。2025年9月以降に発表された3種類も入っている。無線の共同処理に特化したE22、超低消費電力のH21、そしてS31だ。
まとめたのは4つの観点になる。仕様の全比較として、アーキテクチャやSRAM、フラッシュとPSRAMの組み合わせ、無線、インターフェースを並べる。深い休止状態でのふるまいでは、休止中も生き残るメモリーがRTC SRAMかLP SRAMかを示し、それが実際の消費電流にどう表れるかを書く。暗号処理の回路とセキュアブート、フラッシュ暗号化、後量子暗号への対応状況も機種ごとに整理し、現時点でESP32上で動く後量子暗号のライブラリを表にした。1つのチップで足りないときの組み合わせも10通り挙げる。無線を持たないP4に通信担当のC6を添える構成などだ。50の用途に対する適合度を示す表も付く。
数値の扱いに姿勢が出ている。すべての記述が特定の版のデータシートに紐づき、数値が明記されていない箇所は推定値だと明示して事実として提示しない。C61とH4の深い休止時の消費電流は、似た機種のC6とH2から推定した値だと断ってある。
読むと機種の性格が見えてくる。休止中にコードを実行できるのは、補助プロセッサーを持つESP32とS2、S3、専用の低消費電力コアを持つC5、C6、H4、P4に限られる。C2とC3は小さな待避領域があるだけで、データを置けても処理はできない。消費電流ではH21が5マイクロアンペアと最も低い。
公開後、読者からの指摘で項目が1つ増えた。USBの速度に触れていない、というものだ。USB OTGと書いてあっても大半は12Mbpsの全速で、480Mbpsの高速に対応するのはP4だけになる。S31も高速とみられるがデータシートが公開されておらず、未確認として扱う。同氏はこの節を追加し、指摘した人の名前を添えた。UARTとI2C、SPIの速度は今後埋める予定として空欄のままだ。
同氏は、内容が古くなっていたりデータシートを読み違えていたりしたら教えてほしいとして、修正と変更の提案を歓迎するとしている。