ESP32で自作したドライエイジング・発酵装置ーー温湿度を精密制御

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RedditのESP32コミュニティで、マイクロコントローラーESP32を使ったドライエイジング・発酵装置の自作事例が公開されている。投稿者のtelboon氏は、牛肉のドライエイジングと自家醸造の両方に対応する多目的チャンバーを製作し、その詳細な構成と制御システムを公開している。

システムはミニ冷凍庫をベースとし、4℃以下の安定した温度制御を実現している。温度センサーには2個のDS18S20を使用し、1個を水中に沈めて肉の内部温度をシミュレート、もう1個で庫内の環境温度を測定する構成となっている。

湿度制御にはAHT10センサーを採用し、目標湿度80-85%の範囲内で管理している。湿度が高くなった際は、ESP32が自動でファンを作動させ、シリカゲルに空気を通して除湿を行う仕組みとなっている。

Telegram連携で遠隔監視を実現

制御システムにはLilyGo T-Display S3(ESP32-S3搭載、ディスプレイ付き)を採用し、Goベースのサーバーを介してTelegramボットと連携している。これにより遠隔からの状態確認やプロファイル変更が可能となっている。

プロファイル機能により、牛肉、サーモン、発酵など用途に応じて異なる温湿度設定の切り替えができる設計となっている。肉類の空気循環用とシリカゲルによる湿度制御用の2系統のファンシステムを搭載している。

電力制御にはワイヤレスリレー(Energenie Pi-Mote)を使用し、230V電源の直接操作を避けた安全な設計を採用している。ファン駆動にはIRLZ44N MOSFETを使用し、5V USB電源で動作する。

投稿者は「ステーキを食べる最も安価な方法ではないが、電子工作プロジェクトとしては楽しく、環境制御やPCB設計について多くを学んだ」とコメントしている。初期はブレッドボードで構築し、その後カスタムPCBを設計して統合したという。

同プロジェクトは食品加工と電子工作を組み合わせたユニークな事例として公開されている。

なお、ドライエイジングは温度・湿度管理を誤ると食中毒の原因となる有害細菌が繁殖する可能性があり、適切な衛生管理と十分な知識が必要となる。自作装置での食品加工を行う際は、食品安全に関する専門知識の習得と適切なリスク管理が重要である。

関連情報

Reddit投稿(ESP32コミュニティ)

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