実物のIntel 8086を載せた基板で、メモリーや映像、ディスクの制御といった周辺回路をすべてRaspberry PiのマイコンRP2350B 1個が受け持つ。そのファームウェアが「frank-xt8086」としてGitHubで公開された。作ったのはギリシャ・テッサロニキを拠点とするMikhail Matveev氏だ。
READMEによると、RP2350Bが8086に代わって用意するのは、メモリー、映像、タイマー、割り込みとDMAの制御、フロッピーディスクとハードディスクの制御、シリアル通信だ。8086はエミュレーションではなく実物が命令を処理し、バスに読み書きの信号を出す。RP2350BのPIO(入出力を受け持つ専用回路)がその読み書きに1回ずつ応答し、相手の部品はすべてソフトウェアで再現している。
8086への応答を間に合わせるため、RP2350Bは504MHzで動かす。Matveev氏によると、252MHzでは8086が最初の命令の読み込みから先に進まず、画面が黒いままになった。504MHzにすると、BIOSからDOSまで安定して起動したという。
8086から見たメモリーは736KBで、外付けのPSRAMに置く。映像はCGA、Hercules、EGA/VGAの3方式で、HDMIとVGAに同時に出力する。フロッピーディスク2台とハードディスクは、microSDに置いたディスクイメージで代用する。BIOSにはオープンソースのGLaBIOSなどを使い、同氏は組み込んだROMイメージがいずれも再配布できるライセンスだと説明している。
Matveev氏は以前、RP2350Bのモジュールとブレッドボードに組んだ8086で同じ仕組みを試作し、「RP8086」として公開した。frank-xt8086はそこから発展し、専用基板「xt8086 beta」に移った。FabSceneは2026年8月、実物のNEC V20を使い周辺回路をFPGAボードで作ったPC/XT互換機「Gertieboard」を紹介した。frank-xt8086はその役割をマイコン1個で受け持つ。
GitHubで公開されているのはファームウェアとピン配置の資料で、基板の回路図や製造データ、入手方法は記載されていない。同氏はファームウェアをGPL-3.0で公開している。