
海外のMakerが、Raspberry Pi向けに「microSD Express」カードを高速読み取りできる自作アダプターを開発した。Trypocopris氏が2025年7月17日にRedditで発表したこのアダプターは、microSD ExpressカードをPCIe接続に変換し、最大800MB/sでの読み取りを可能にする。従来のM.2 SSD拡張ボードより省スペースでありながら、NVMe SSDと同等の性能を実現している。
microSD Expressは、従来のmicroSDカードの物理形状を保ちながら、PCIe NVMe 3.0インターフェースに対応した新規格だ。2018年にSD Associationによって策定されたが、対応カードの入手性が限られているため、実用例は少なかった。
任天堂ブランドカードで824MB/sを実測
Trypocopris氏は実際のベンチマークテストとして、任天堂Switch 2にも搭載されているmicroSD Expressカードを使用し、シーケンシャルリード824MB/s、シーケンシャルライト191MB/sを記録した。この数値はmicroSD Expressの理論値に近い性能を示しており、従来のmicroSDカードと比較して大幅な速度向上を実証している。
技術的な設計では、PCIeの適切なパフォーマンス確保のため制御インピーダンスが重要とされ、50µm PI誘電体と0.5oz銅で設計されている。Raspberry Piからは通常のNVMe SSDとして認識され、ブートデバイスとしても使用可能だ。
従来、Raspberry PiでNVMe SSDを使用する場合、M.2拡張ボード(M.2 HAT)が必要だったが、これはボードサイズを大幅に拡張し、ケース収納時の課題となっていた。microSD Express アダプターは、Raspberry Piの標準的なサイズ内に収まる設計で、この問題を解決している。
Trypocopris氏はプロジェクトの詳細をGitHubで公開しており、ベンチマーク結果も含めて他の開発者が参考にできる形で情報共有している。