
Raspberry Pi公式サイトで、Raspberry Pi Picoを使ったドラムマシンの作り方が詳しく紹介された。Phil King氏によるこのプロジェクトは、わずか5ドルのRaspberry Pi Picoを使って、1980年代のデジタルドラムマシンに匹敵する機能を実現している。1930年代初頭にLeon Theremin(テルミン楽器の発明者)が開発したRhythmiconが史上初のドラムマシンとされているが、1980年代のLinn LM-1は当時の価格で現在の19000ドル相当だった。
このプロジェクトは、Arnov SharmaがHacksterで公開したPicoドラムマシンプロジェクトからインスピレーションを得て開発された。Sharma氏は専用PCBを作成してボタンを配置したが、King氏のバージョンではより簡単な配線でアクセシビリティを重視した設計となっている。DF Mini Playerを使用してドラムサンプルの再生を行い、MicroPythonで制御プログラムを作成している。
6つのボタンで多彩なドラムサウンドを制御
システムの構成は比較的シンプルで、6つのボタンをハーフサイズブレッドボードに配置し、Raspberry Pi PicoのGPIOピン(28、27、26、21、20、19)に接続している。各ボタンは4本脚でブレッドボードの中央分割部をまたぐように配置され、片側がグランドレールに、もう片側がGPIOピンに接続される。コード内でプルアップ設定されたGPIOピンがボタン押下時にローレベルになることを検知し、対応するドラムサンプルを再生する仕組みだ。
DF Mini PlayerはPicoと同じブレッドボード上に配置され、UART RX/TXピン経由で通信し、3.3V電源とグランドで動作する。音声出力には2W、8Ωのミニスピーカーを接続している。音声ファイルの準備では、microSDカードをFAT32でフォーマットし、ファイル名を0001、0002、0003のように連番で命名する必要がある。MP3またはWAV形式に対応しており、このプロジェクトではWAVファイル(0001.wav、0002.wav…0006.wav)を使用している。
プログラミングにはMicroPythonを採用し、Stewart WatkissのDF Mini Playerライブラリを活用している。ライブラリファイル(dfplayermini.py)をThonny IDEのFilesタブからPicoにアップロードすることで使用可能になる。プログラム開発環境は、MicroPythonがプリインストールされたPicoに対してThonny IDEを使用する構成となっている。
Arnov Sharma氏がC言語でプログラミングしたのに対し、King氏はMicroPythonを選択することで、より初心者にアクセシブルな開発環境を提供している。このドラムマシンは基本的な打楽器音の再生だけでなく、音声フレーズや効果音の再生にも応用できる。また、4つのボタンを使用してStewart WatkissのMP3プレーヤープロジェクトと組み合わせることで、microSDカードに保存された楽曲の再生も可能だ。
このプロジェクトは、Raspberry Pi公式マガジンの最新号で詳細が掲載されており、世界各地の書店やオンラインストア、Android/iOSアプリで入手できる。雑誌の6か月または12か月購読者には無料でRaspberry Pi Pico Wが提供される特典もある。