仕事上の課題から生まれた自作デバイス、ラズパイでウェアラブル端末の外部ディスプレイを実現

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FabSceneの読者用投稿フォームからユニークな作品の情報が寄せられた。kinneko氏が、Raspberry Piを使って開発した「THINKLET Viewer」は画面のないAndroid端末「THINKLET」用の外部ディスプレイデバイスだ。現場での通信トラブル対応という実用的なニーズから開発された。3DプリンターとRaspberry Piを組み合わせて筐体から制御システムまでを自作している。

現場のトラブル対応から生まれた実用デバイス

THINKLETはフェアリーデバイセズが開発した首掛け型ウェアラブルデバイスでOSにはAndroidを採用、通常はクラウド上からAPIを経由して操作する。しかし、現地でのWiFi設定や通信トラブル時のSIM交換・APN設定など、クラウドからは不可能な操作が発生するケースがあるという。

同社でエンジニアとして勤務するkinneko氏はこの課題を解決するため、業務外の個人的なプロジェクトとしてUSBケーブルを接続するだけでTHINKLETの画面を表示できるデバイスを制作した。最初はRaspberry Pi 2Bをベースに省電力化を重視して設計し、その後パフォーマンス向上のためPi 4に移行、さらに薄型化を目指してPi 3Aでの実装も行っている。

システムは起動時の自動化に重点を置き、RaspbianOSのGUIは基本的に無効化してアプリ起動を自動化。ROM化により突然の電源断でもSDカードが破損しにくい設計としている。scrcpyを使用してAndroidデバイスの画面をミラーリングし、タッチ操作にも対応している。

バッテリ内蔵でさらなる利便性を追求

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当初は電源と通信の2本のケーブルが必要だったが、利便性向上のためバッテリ内蔵版も開発した。小型バッテリーを使用し、Type-CからmicroBへの変換ケーブルを介して給電する構成だ。

バッテリには操作性の良い製品を選定し、ボタン1回クリックで給電開始、2回クリックで給電終了が可能。LEDによるバッテリ残量表示機能も活用できるよう、ケース設計で配慮している。

筐体は3Dプリンターで制作し、Bambu Labs P1Sを使用してより精密なケースに仕上げている。現在は電池内蔵ではないPi4版が3台が稼働中で、営業担当者が客先でのデモや展示会でのデモに活用しているという。

開発過程では、RaspbianOSのアップデートに伴うコンポジタの変更(wayfireからLabwcへ)への対応や、Ansibleを使った自動構築システムの整備なども行っており、実用的なデバイスとして継続的な改良が加えられている。

kinneko氏は「Maker系のイベントでも展示しているので、どこかで見かけて興味があったらさわってみてほしい」とコメントしている。

※この記事は読者投稿フォームからの応募に基づいて作成しました。
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