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電源いらずで電波を導く3Dプリントの板、材料費1万円以下で死角をなくす

地下室や壁の向こうでスマホの電波が届かない。そんな死角を、電源も配線もいらない板1枚で改善できるかもしれない。Aalto大学(フィンランド)の研究チームが、電波を曲げて導く3Dプリント製のパネル「メタクリスタル」を開発し、成果をNature Communicationsで2026年6月8日に公開した。材料費は1個あたり数十ユーロ(数千円)程度で、置く場所に合わせて自分で印刷できる点が新しい。

次世代の通信規格6Gは、5Gより高い周波数を使い、より多くのデータを運べる。ただ、高い周波数の電波は壁や人、家具にさえぎられやすく、届かない死角ができやすい。これまでの対策は、ルーターや中継器、基地局といった電気を使う機器を増やすことだった。数が増えれば、費用も消費電力もかさむ。

メタクリスタルは、電子回路も電源も使わない。プラスチックの立体的な形そのもので、電波をはね返したり、曲げたり、形を整えたりする。研究チームのMohammadmahdi Asgari氏は、暗い部屋に照明を足す代わりに鏡で光を導くようなもので、それを電波でやると説明する。壁や天井、家具に取り付ければ、電波を角の向こうや死角へ送り、特定の機器へ向けられる。

従来の賢い反射板(リコンフィギュラブル・インテリジェント・サーフェス)は、たくさんの可変素子と複雑な制御回路がいるため、高価で広く設置しにくい。一方メタクリスタルは、複数の電波や周波数帯を同時にさばき、反射と透過を使い分け、不要な電波を吸収もできる。これを、コンピューターによる逆設計(ほしい性能から形を逆算する手法)で立体構造に作り込んでいる。

Asgari氏は、工場や倉庫、長い廊下、屋内の5Gや6Gといった、レイアウトが大きく変わらない場所が有望だと述べる。決まった間取り向けに設計した板1枚なら、常時手入れが必要な能動的な機器より安く済む。研究チームは、環境の変化に合わせて調整できる板への発展と、実用化に向けた産業界との連携を探っている。

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FabScene編集部

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