スイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)のDavid Norris教授の研究チームが、光を出すことと、光を読み取ることを同時にできる新しい画素を開発した。カメラと画面の両方の働きを1つにまとめた機器につながる可能性があるという。成果は学術誌Natureに掲載された。
画素は、画像を作る最小の単位だ。スマートフォンやテレビの画面では、画素が光を出して映像を映す。一方、カメラでは、画素が入ってくる光を捉えて画像を記録する。これまでの画素は、光を出すか、捉えるか、どちらか一方の役割しか持てなかった。両方を同時にこなす画素は、存在しなかった。
研究チームが開発したのは、「フーリエ・ピクセル」と名付けた画素だ。この画素は、光の波を互いに干渉させて、模様や画像を作り出す。それと同時に、入ってくる光の強さや、波の位相、偏光といった性質を読み取れる。位相は光の波のタイミング、偏光は光の波の振動の向きを指す。出す側と読み取る側の両方で、光を細かく扱える点が新しい。
実証として、研究チームは、この画素を使って、カメラの上で高さおよそ1ミリメートルの「E」の文字を、色付きで表示してみせた。Norris教授によれば、この画素の設計に必要な数学は比較的単純で、応用に向けて扱いやすいという。
研究チームは、当面の実用的な目標として、このフーリエ・ピクセルを多数並べた仕組みを作ることを挙げている。これが実現すれば、カメラと画面を兼ねる双方向の機器につながると位置づけている。この研究はすでに特許の出願に至っている。