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ヒューマノイドのアクチュエーター部品で中国が独占、マッキンゼーが分析

米マッキンゼー(McKinsey & Company)のIndustrials Practiceが2026年4月17日、ヒューマノイドロボット普及を阻む最大の制約として「サプライチェーンの未成熟」を挙げる15ページのレポート「Turning humanoid supply chain constraints into billion-dollar wins」を公開した。AI性能や本体設計に注目が集まる一方、コスト削減・機敏性・稼働時間・安全性という商用化の4要素はすべて部品供給網の成熟度に左右される、というのが結論の柱だ。

ヒューマノイドの部材費(BOM)は5領域に整理される。アクチュエーター40〜60%、センシング・知覚10〜20%、コンピュート・制御10〜15%、構造部品5〜10%、バッテリー5〜10%で、合わせて全体の85〜90%を占める。現状の単機BOMは1台3万〜15万ドル(約480万〜2400万円)の幅にあり、業界は2万ドル(約320万円)以下を量産普及の閾値としている。中国製サプライヤーを除外したTesla Optimus Gen 2の試算では、BOMが4万6000ドルから13万1000ドル(約735万円→約2090万円)と約3倍に跳ね上がり、中国部材なしの量産化が現状では成立しにくい構図を示す。

最大のボトルネックはアクチュエーター内部の精密部品だ。ヒューマノイドの関節に多用される「ハーモニック減速機(ストレインウェーブギア)」は、Harmonic Drive、Nabtesco、中国Leaderdriveなど限られたメーカーに集中。「プラネタリーローラーねじ」はSKFや一部のアジア製造企業に依存し、リードタイムが長く代替が利きにくい。Bosch Rexroth、Hiwin、THKが供給するロボット用リニアガイドも、ヒューマノイドが要求するコンパクトかつ低クリアランスな仕様を満たす品種は限定的だ。希土類永久磁石も上流のリスクで、中国が世界の採掘の約69%、磁石の処理・精製の約90%を占める。Elon Musk氏は磁石供給制約がOptimusの生産に影響したと公言している。

センシングではATI Industrial AutomationやOnRobotなど少数メーカーが供給する6軸力覚センサー、リニア力覚センサー、まだ標準化されていない触覚センサーがボトルネックとして指摘された。コンピュート・制御の領域では、Nvidia Jetsonや自動車向けマイコン、Elmo・Novanta(Celera Motion)・Synapticonの産業用サーボが組み合わされているが、自動車のECUに相当する「ヒューマノイド用の安全認証済み統合プラットフォーム」がまだ存在しない。

中国の優位は構造的だ。中国は2024年に世界の産業用ロボット新規設置の54%(29万5000台)を占め、稼働ストックは203万台に達した。ヒューマノイド関連特許の出願件数は過去5年で中国7700件、米国1560件、日本1100件。一方、米国の民間AI投資は中国の約12倍で、フロンティアAI層では米欧が優位を保つ。マッキンゼーは「中国がハードウェアスケールと早期コスト圧縮で先行し、米欧はフロンティアAIと安全認証で差別化する二極化したエコシステム」になる可能性が高いと予測した。

サプライヤー側の動きも加速している。独Schaefflerは2025年以降のNeura Robotics、英Humanoid、中国Leju Roboticsとの3件の提携を5カ月で発表し、ストレインウェーブギア用アクチュエーターの共同開発を進めている。BoschはNeura RoboticsおよびBoyuan Capital経由で中国Galbotとの合弁を組み、加MagnaはSanctuary AIへ出資した。コンピュートではQualcommが「Dragonwing IQ10」というヒューマノイド向けプロセッサを2026年1月に投入し、Figure AIやNeura Roboticsと連携している。製造ではJabilがApptronik Apolloの全世界生産パートナーとなり、ソフトバンクグループは2025年10月にABBのロボティクス事業を54億ドル(約8630億円)で買収すると発表。Samsung SDIはInterBattery 2026でヒューマノイド専用の全固体電池を披露し、LG Energy SolutionはBoston DynamicsのAtlas(2028年からヒョンデの米工場で稼働予定)の電池供給に確定している。

マッキンゼーは、サプライヤーが今のうちに動くべき5つの戦略課題として、(1)OEMとの仕様凍結前の共同開発参画、(2)SIL/ASIL認証など機能安全への投資、(3)モジュール化と業界標準化への寄与、(4)量産能力の実証、(5)保守・予防診断などライフサイクル収益基盤の構築を挙げた。OEMが垂直統合に頼るのは戦略的選好ではなく外部に頼れる供給網がまだ存在しないからで、サプライヤーが先手を打って関係を築けば「世代を超える事業機会」になる、と結んでいる。

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FabScene編集部

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