英国のスタートアップmorphが、形と硬さをリアルタイムに変えられる柔らかいロボット部品「ソフトロボティックセル」を作るプラットフォームを発表した。タコの体の柔軟さに着想を得た技術で、製品に組み込むと、人の動きや周りの状況に合わせて形を変える。2026年6月2日に明らかにした。
morphを率いるのは、創業者のJean Nehme氏だ。元は再建外科医で、外科向けAI企業Digital Surgeryを立ち上げ、売却した経歴を持つ。人の体を手がけた経験から、生き物の柔らかさに着目したという。
ソフトロボティックセルは、morphが名付けた言葉で、柔らかく変形する素材に、センサーと制御の仕組みを直接埋め込んだ部品を指す。これを組み合わせると、形そのものや硬さを、その場で変えられる。固くて形の決まった従来の製品とは異なり、使う人や場面に応じて姿を変える製品を作れるという。
開発を支えるのが、AIの技術だ。強化学習と、現実を高い精度で再現する物理シミュレーションを組み合わせ、頭の中の構想から実際の製品までを、短い期間で形にする。設計者は、セルの動きをプログラムし、現実の条件を模擬しながら、柔らかい部品を素早く試作できる。
morphは、自社で完成品を売るのではなく、他社の製品づくりを支えるB2Bの事業を狙う。ソフトウェア、設計、製造のパートナーとして、さまざまな企業にこの技術を提供する考えだ。現時点で、複数の産業パートナーと組んでいるとしている。
最初に狙う用途は、運動の能力を高めたり、けがを防いだり、体の動きを助けたりする分野だ。その後、ヘルスケアや自動車、産業の安全といった領域へ広げる計画を掲げる。
なお、同社はこのプラットフォームを「世界初」とうたう。ただし、これは同社の説明に基づくもので、第三者が裏づけたものではない。具体的な製品やその仕様は、まだ公表されていない。