村田製作所は2026年9月30日、0.6×0.3mmの3端子チップ積層セラミックコンデンサ「LLDシリーズ」を開発し、量産を始めたと発表した。積層セラミックコンデンサは、電気を一時的にため、放出することで電圧の変動を抑える小型の電子部品で、スマートフォンから自動車まで数多く使われている。同社によると、3端子のものとしては世界最小(同社調べ、9月29日時点)だという。
同社は開発の背景を次のように説明する。大量のデータを高速に処理する高性能なICは、扱う信号の周波数が高く、必要とする電流が短い時間で大きく変わる。その結果、ICに供給される電圧も短い時間で変動する。電圧を安定させるには、ICのすぐそばに置いたコンデンサから電流をすばやく送り込む必要がある。
そこで使われるのが3端子コンデンサだ。コンデンサの内部や端子には、電流の急な変化を妨げるわずかな成分(ESL)があり、これが小さいほど、短い周期で変わる電流にも追いつきやすい。3端子コンデンサは、一般的な2端子のものと比べて電流の通り道が短く、短い通り道を複数設けられるため、ESLを小さくできる。一方、機器本体の薄型化と小型化も進み、限られた基板の上に部品を効率よく並べる必要が高まっている。ところが3端子コンデンサは、内部と外部の電極の構造が2端子のものより複雑で、小さくするのが難しかったと同社は説明する。これまでの3端子品の最小サイズは1.0×0.5mmだった。
同社は電極構造の設計を見直し、製造工程も改良して、0.6×0.3mmに縮めた。基板に載せるときに占める面積は、従来の最小品より約64%小さい。同社は、ICの周りに部品を詰めて配置できるようになり、スマートフォンやスマートウォッチのような小型機器の高性能化につながるとしている。
品番は2種類ある。静電容量はどちらも1μFで、LLD033R60G105ME01は定格電圧4V、使用温度範囲は−55〜85℃、LLD033D80E105ME01は定格電圧2.5V、使用温度範囲は−55〜105℃。同社は今後も、モバイル機器やウエアラブル機器向けに小型で高性能な積層セラミックコンデンサを開発するとしている。