
第二次世界大戦と冷戦時代の核兵器開発で残された放射性廃棄物を、ガラスの中に閉じ込めて安全に保管する世界最大の処理施設が、米国で稼働を始めた。廃棄物を摂氏約1150度で溶かしてガラス形成材料と混ぜ、ステンレス容器に固めて長期保管する。米国の建設大手Bechtelが2025年10月15日に発表した。
Bechtelは2025年10月15日、ワシントン州のハンフォード・サイトにある廃棄物処理・固定化プラント(WTP)で、放射性廃棄物のガラス固化処理を開始したと発表した。第二次世界大戦中のマンハッタン計画と冷戦時代の核兵器製造で生じた放射性・化学廃棄物の最初のバッチを、安定したガラスに変換することに成功した。
ハンフォード・サイトは、第二次世界大戦中に原子爆弾用のプルトニウムを製造していた施設で、その後も冷戦時代を通じて核兵器の材料を生産してきた。数十年にわたる操業の結果、大量の放射性廃棄物がタンクに保管されており、コロンビア川や周辺への長期的な環境リスクとなっていた。
ガラス固化(vitrification)は、放射性廃棄物を安全に長期保管するための処理方法だ。タンクに保管されていた廃棄物をガラス形成材料と混合し、摂氏約1150度(華氏2100度)に加熱して溶融する。この処理には300トンの大型溶融炉2基が使用される。溶融した混合物をステンレス鋼製の容器に注ぎ、冷却して固化させる。ガラスは化学的に極めて安定しており、放射性物質が環境に漏れ出すのを長期間防ぐことができる。
WTPは世界最大の放射性廃棄物処理施設で、1日平均約2万リットル(5300ガロン)のタンク廃棄物を処理する能力がある。今後数カ月間、Bechtelのプロジェクトチームは廃棄物とガラス形成材料を溶融炉に投入し続け、ステンレス容器を満たしてハンフォード・サイト内の統合処分施設に搬送する作業を継続する。
関連情報
Bechtel – Bechtel Begins Nuclear Vitrification at Hanford Site