マイクロ流路チップは、幅1mmに満たない細い流路に少量の液体を流し、混ぜたり反応させたりする小さなチップだ。その流路を描いて幅を決めると、ブラウザーの中で立体のチップを組み立て、光造形3Dプリンター用のSTLファイルとして書き出す設計ツールが「OpenChip」として公開された。作ったのはJulian Cimoca氏で、CADを覚えずにチップを作りたい研究者に向けて開発した。
使い方は図を描く感覚に近い。流路の線を直線か曲線で引き、幅の目印を2カ所に置くと、その間で流路がなめらかに太くなる。数値を変えるたびに立体は組み直され、同氏によると、例に挙げたチップなら約0.1秒で作り直せる。アカウントもサーバーも要らず、描いた内容はどこにも送られない。
同氏が重視したのは、造形で失敗しやすい点を先に知らせることだ。OpenChipは入力したプリンターの設定と照らし、細すぎる流路、隣の流路との間の薄すぎる壁、レジンが抜けない場所などを警告する。ただし警告しても書き出しは止めない。理由について同氏は、プリンターを手にしているのは利用者で、拒むツールは避けて使われるからだと説明している。
同氏は、チップの作り方にも光造形ならではの事情を反映させた。造形直後の流路には固まっていないレジンが詰まっており、残ったまま硬化させると流路はふさがって元に戻らない。同氏は、これが最初のチップを台無しにする一番の原因だとしている。そこでOpenChipは標準で、チップを流路の板とふたの2つに分けて出力する。流路が溝のまま洗えるので、幅0.5mmを下回る流路ではほぼ唯一の現実的な方法だという。
OpenChipは液体の流れも見積もる。流路を電気回路の抵抗のように扱い、流路ごとの圧力損失や液体がとどまる時間などを計算する。ただし同氏は、これは流体解析ソフトによる計算ではないと断っている。ポンプで毎分10µLを幅0.4mmの流路に送れるかは分かるが、曲がり角で濃度がどう分布するかは分からないという。
OpenChipはWebサイトからそのまま使える。同氏はソースコードをMITライセンスで公開し、混合や液滴の生成など7種類のテンプレートも用意した。同氏は、本番の前に小さな試験片を造形し、自分のプリンターで実際に作れる流路の細さや壁の厚さを測るよう勧めている。